衛星間光通信による中継ネットワークの構築をめざすワープスペースは、シリーズBラウンドでの資金調達を完了。宇宙産業への進出をめざすユードム、湖北工業の2社と資本提携し、エミュレーターや通信中継用デバイスの開発を強化すると11月27日に発表した。
防災や安全保障などの観点から、宇宙で取得できるデータの重要性が増し、データ伝送の需要が高まっている。ワープスペースでは、従来の電波による通信方式ではなく、光による通信方式を用いた宇宙通信ネットワークサービスの開発や、衛星間光通信の技術導入を円滑化にするために必要なデバイスやソフトウェアの開発を2019年から行ってきた。
今回、資本提携した2社のうち、社会インフラ領域のシステム開発を主に行うユードムとはソフトウェア面で、光通信関連部品メーカーの湖北工業とはハードウェア面(衛星に搭載できる光ルーターモデム)の開発において連携を図り、「WarpON!」という光通信導入支援サービスの提供に向けて、開発を加速させるとしている。
ユードムは、光通信におけるエミュレーターの開発やデジタルツインシステムなど、ワープスペースのエンジニアリングサポートを通じて、宇宙産業への取り組みを進めていく予定。ユードムは「いばらき宇宙ビジネス創造コンソーシアム」に加入するなど、以前から宇宙産業への進出を検討しており、2023年にワープスペースが行ったイベント「ワープステーション・エレメンツ」をきっかけとして今回の資本提携が決まったという。
湖北工業は、海底ケーブル向けの光アイソレータで世界シェアの5割以上をもつ企業で、新たな技術開発の領域として宇宙産業への参入を検討。今後、同社は光通信デバイス開発の技術を応用して、部品や機器の開発を進め、宇宙産業を新たな事業の柱に育てていく方針だという。