立命館大学発スタートアップのPatentixは11月27日、ルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)単結晶薄膜上に、ショットキーバリアダイオード(SBD)を形成、その動作を確認したと発表した。

r-GeO2は、バンドギャップが4.6eVと、新たなパワー半導体として実用化が進んでいるGaNの3.39eV、4H-SiCの3.26eV、6H-SiCの3.02eVを超えており、実用化できればこれまで以上の省エネ効果を得られることが期待されている。また、r-GeO2同様、次世代パワー半導体材料として期待されるGa2O3(酸化ガリウム)のバンドギャップは4.8eVとr-GeO2を若干ながら上回るものの、Ga2O3は不純物ドーピングによるP型の形成が難しいとされており、理論的には可能と予想されるr-GeO2の方が、より幅広いデバイスへの応用が期待されているという。

同社は、これまでの研究開発からr-GeO2にドナー型不純物を導入することで、1×1018~1×1020cm-3という高濃度のN型ドーピング(N+ドーピング)を達成したことを報告していたが、r-GeO2を用いた半導体デバイスの実現には、ドナー不純物濃度が1×1017cm-3以下のN-層の実現が不可欠であり、r-GeO2を用いた半導体デバイスの動作実証も未達成の状態であったという。

今回、同社は研究開発を通じて、 N+層のr-GeO2結晶膜上に1×1017cm-3程度のドナー不純物を導入したN-層のr-GeO2結晶を成膜することに成功したとするほか、物質・材料研究機構(NIMS)との共同研究を通じて、Patentixが絶縁性TiO2基板上にN+のr-GeO2単結晶膜を成膜し、その上にN-のr-GeO2単結晶膜を成膜した後、NIMSにて、N-層をドライエッチングしてN+層を露出させ、電極を成膜・形成することで疑似縦型構造のSBDを形成することにも成功したという。

この記事は
Members+会員の方のみ御覧いただけます

ログイン/無料会員登録

会員サービスの詳細はこちら