キヤノン、キヤノンメディカルシステムズ、Canon Healthcare USAの3社は11月27日、米国・ペンシルベニア大学系列の医療グループ「Penn Medicine」と、次世代のX線CTとして期待されるフォトカウンティングCT(PCCT)の早期実現を目指し、共同研究を開始したことを発表した。
次世代画像診断装置の早期実現に向け臨床現場研究を開始
PCCTは、入射したX線のエネルギーを識別しデータ収集を可能とする次世代検出器(フォトンカウンティング検出器)を搭載した画像診断装置だ。検出器に入射する個々のX線エネルギーを測定し画像を得るため、従来のX線CTに比べて複数の物質構成を特定できるうえ、定量的に優れた画像を提供することで、診断精度を大幅に向上させると期待されている。さらに高分解能化を実現できれば、臓器の病変検出能が向上し、従来装置と比較して被ばく量低減も見込まれるという。
キヤノンが開発するPCCTは、テルル化亜鉛カドミウム(CZT)を使用した独自の検出器を採用。テルル化カドミウムに亜鉛を加えることで、検出器のX線光子を捉える能力が高まり線量効率が向上するといるという。また独自開発したコンパクトな検出器回路は、X線を検出する面積を広げ、面積あたりの線量効率を最大化するように設計されているとする。さらに同社が長年培ってきた画像再構成技術を組み合わせることで、患者の体型・体格によらずPCCTの画質を最適化することが期待される。