農林水産省は10月29日、令和6年産米の検査結果(9月30日現在)をまとめた。令和5年産の米は猛暑の影響で一等米の比率が低下し、今夏の米不足につながった。令和6年産米の一等米比率は、昨年比で17.7㌽高い77.3%となかなかの出来栄えだった。
今年も猛暑だったが、農家が十分な肥料や水をタイミングよく供給したとみられている。新潟産のコシヒカリでは、令和5年産での一等米の比率はわずか5%(令和5年12月31日の段階)だったが、今回は83.6%と抜本的に回復した。
10月11日に農水省が公表した令和6年産米の作況指数(9月25日現在)でも全国で102と「やや良」だった。昨年の101の「平年並み」よりも一段上がった。
農水省はまた、10月30日に開いた食料・農業・農村政策審議会の食糧部会で、今夏の米不足の原因を分析した。その結果、「8月の南海トラフ地震臨時情報等を受けた買い込み需要に各流通段階からの供給が追い付かない状況が発生した」と結論付けた。
その一方で、「特別な情報発信や流通関係者への働きかけは品薄状況が顕在化した8月下旬からの取組となった」と反省点も挙げた。今後、収穫の前で最も品薄になる夏の間は情報収集を強化することを確認した。
11月1日に記者会見した小里泰弘・農林水産大臣は来年も再来年も、必要な在庫量は確保される水準であることを強調した。その一方で、令和6年産米について「収穫量の確定や精米の歩留まり、在庫、消費の動向等を見極めながら、改めて食糧部会を開催し、需給見通しの見直しについて再度諮問する」と米不足にならないよう対応していく考えを示した。
小里大臣は10月27日投開票された衆院選の鹿児島3区で落選し、比例復活もできなかった。小里大臣は11月11日に召集される見通しの臨時国会まで続投する予定だ。小里氏は自民党農林部会長や衆議院農林水産委員長などを務めたいわゆる「農林族」の一人で、10月1日に発足した石破内閣で初入閣したばかりだった。