フジテレビは11月21日、宇宙産業への参入に向けた「宇宙事業プロジェクト」を発足すると発表。宇宙に関するコンテンツ制作・イベント開催・IP開発といった、宇宙関連事業の展開をめざす。第一弾として、東京科学大学と共同で社会人向けの宇宙教育セミナーを開催し、次世代の宇宙人材の育成に取り組む。

同プロジェクトは、「宇宙産業・研究の発展に寄与し、メディア事業者として宇宙事業へ参画すること」を主眼に置いたもの。フジテレビがもつテレビ放送事業の広域なネットワークを活用し、国内外での宇宙産業・研究への関心を高めるとともに、異業種企業との連携を強化。新たなメディアや映像コンテンツ、イベントなどのエンターテインメント分野での関連技術開発や宇宙空間での事業開発に取り組み、宇宙産業の裾野を広げることを目的としている。

また、国内外の事業者や研究機関とも連携し、宇宙産業・研究に対する人々の理解促進を通じて宇宙事業の推進に寄与。宇宙人材の教育・育成にも取り組むとしている。

フジテレビと東京科学大学・地球生命研究所(ELSI)の共同による最初の試みとして、社会人向けの宇宙教育セミナー「コスモス・サロン」を開催。宇宙関連企業が集まる「クロスユー日本橋」において、宇宙や生命・開発・エンタテインメントといったさまざまなテーマで議論や情報交換を行う場を提供する。

同研究所は2012年に設置された、国内外の研究者が学際的な統合アプローチによって「地球と生命の起源」を探るユニークな研究機関。「地球が太陽系の中でどのようにして生まれたのか」、「どのようにして地球に生命が誕生し、また地球と生命はどのようにして今のような形に至ったのか」といったことを研究し、地球と生命の起源への理解を通して、太陽系以外の惑星系における生命についても研究しているとのこと。

宇宙事業プロジェクトリーダー 原大輔氏のコメント

「アポロ11号で人類が初めて月面に降り立ってから55年、人類は再び月をめざしています。NASAが主導する『アルテミス計画』には日本も加わり、日本人宇宙飛行士が月面に立つ日もまもなくです。その先の火星有人探査も含めて、ワクワクするような『宇宙の時代』がやってきています。そんな『宇宙の時代』の開発の中心は、アメリカ・スペースXの『スターシップ』をはじめとした民間企業にシフトしており、日本においても民間企業の力が期待されています。フジテレビも動画・イベント・グッズ等のエンタメコンテンツの開発はもちろん、宇宙産業や研究の場で今起こっていることを、視聴者の皆さんにわかりやすく、楽しくお伝えしてまいります。入社以来、フジテレビでなんらか宇宙に関わる仕事がしたいと思い続けてきました。そして、今、その時がきました。東京科学大学・ELSIをはじめ、様々な研究機関・民間事業者の皆さんとともに、日本の宇宙産業・研究、そしてこの『宇宙の時代』を盛り上げていきたいと思います」

宇宙事業プロジェクト事務局長 鈴木修太氏のコメント

「今、宇宙は民主化の時代を迎えています。NASAが運用する国際宇宙ステーション(ISS)は2030年にその役目を終え、次世代ISSは民間による商業ステーションの運用が期待されています。日本国内でも宇宙開発利用と技術開発を牽引してきたJAXAが、最大1兆円の『宇宙戦略基金』の資金配分機関となり、スタートアップをはじめとする民間企業や大学等による技術開発を推進する取り組みが始まりました。宇宙開発の担い手が民間に移り、有人宇宙飛行も日常的になりつつあり、宇宙旅行は空想の世界や夢物語では無くなってきました。宇宙で今起こっていること、地上での日常の現実が近い将来の宇宙に繋がっていることをメディアとしてしっかりと追いかけ、理解醸成・機運醸成に努めながら、宇宙空間でのエンタメ分野の事業開発に取り組んでまいります」