【国土交通省】中古住宅向けの「省エネラベル」運用開始

国土交通省は11月、中古住宅を対象とした「省エネ部位ラベル」表示の運用を開始した。今年4月には新築住宅を販売・賃貸する事業者に対して「省エネ性能ラベル」の表示が努力義務となったのに続き、住宅の省エネ対策が強化される。来年春には全ての新築住宅について、一定の省エネ基準への適合が義務化される予定で、消費者の認知を高めることが求められそうだ。

 背景には、2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の実現に向け、国内のエネルギー消費量の3割に相当する住宅・建築物分野での省エネが求められていることがある。

 政府は住宅の省エネ性能引き上げを急いでおり、中古住宅の改修支援など省エネ化推進の施策も打ち出してきた。

 ただ、住宅を購入、賃貸する消費者の関心は必ずしも高くはない。不動産情報サービス事業を手掛けるLIFULL(ライフル)が9月に実施した調査では、3年以内に引っ越しを検討している人のうち、新築住宅を探している人は中古住宅を探している人に比べると、より省エネ性能への意識が高いとの結果が出た。

 ある不動産関係者は、「昨今の物価高もあり、電気代や光熱費を抑えたいとのニーズは強いはずだ」と指摘。現段階では新築物件についても省エネ性能表示は「努力義務」にとどまっているが、「省エネ性能が示されることで物件が売れる市場をつくりたい」(国交省関係者)として、関係業界に協力を呼びかけている。

 中古住宅向けの「省エネ部位ラベル」は、窓や給湯器、外壁、空調設備などの機能が一定の省エネ基準を満たしているかを明示する仕組みだ。

 表示できるラベルの発行をスムーズに行うため、まずは現況確認を行うための条件を満たす対象者を増やし、表示件数を増やす必要がある。

 また、消費者が物件を探す際の判断材料にするためには、住宅の販売・賃貸を手掛ける事業者の検索サイトなどでも分かりやすく表示されなければならず、今後は中小の仲介業者を含む事業者のシステム改修なども促す必要がありそうだ。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の見方「石破茂首相の経済政策」