東北電力女川原発2号機(宮城県)が11月4日、原子炉起動から約1週間で停止した。原子炉内の状況を示す計測器の搬入作業でトラブルがあったためで、東北電によると、原子炉内の異常はなく放射性物質の漏えいはないという。これに伴い、3日に予定された発電開始は延期された。
東北電は、10月29日に原子炉内の核分裂反応を抑える制御棒を引き抜き、起動した。ところが、作業が順調に進んだことで11月7日としていた発電開始を3日に前倒しした矢先、中性子分布を計測する検出器の校正用機器を原子炉内に入れる作業で、途中で動かなくなる不具合があった。4日に原子炉を停止し、原因を調べている。
女川2号機の再稼働は、2011年の東日本大震災で停止して以来、約13年ぶり。事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)として、東日本に立地する原発として、事故後初となる。
西日本では関西、九州、四国の3電力が計12基の原発を再稼働した一方、東日本は火力発電に依存してきた。東北電と東電を合わせた電源構成は約8割が火力で、運転開始から40年を経過した老朽火力も含む。トラブルで停止すれば、需給が不安定になる恐れがある。
また、原発稼働で火力の燃料費が抑えられるため、関電や九電は電気料金が比較的安い。各社が発表した標準的な家庭の11月使用分の料金は、関電や九州電が東北電や東電と比べて1千円以上安くなっていた。ただ、東北電は女川2号機の再稼働で年間600億円規模のコスト削減を見込むが、既に再稼働を反映した料金を設定しており、値下げには慎重だ。
武藤容治経済産業相は11月5日の閣議後記者会見で、女川2号機のトラブル停止について「工程ありきではなく、一つ一つ丁寧に作業を確認しながら安全最優先でプロセスを進めてほしい」と話した。「(発電が)延期になって電力需給に直ちに影響が生じるとは承知していない」と説明した。