2035年にはコア営業益を約3倍に
「キーワードは『つなぐ』。つなぐことで、必ず利益性は高まる」─こう強調するのは、三菱ケミカルグループ社長の筑本学氏。
2024年11月13日、三菱ケミカルGは2035年までの長期経営ビジョンと、29年までの新中期経営計画を発表した。
三菱ケミカルGが指標とする、本業の儲けを示すコア営業利益(非経常的な要因で発生した損益を除いて算出)は、25年3月期には2900億円の見通しだが、中計最終年度の2030年3月期に5700億円、長期ビジョンが目指す2036年3月期には約9000億円と、意欲的な目標を示した。
その実現のために重要なのが、冒頭の筑本氏の言葉にある「つなぐ」。例えば、三菱ケミカルGは合併を繰り返して構成されている企業体のため、母体の違う各事業所間のつながりが弱い面があった。この関係性を「つなぐ」ことで、モノづくりの高度化などを図る。
さらに、社内の事業をつないだことでEV(電気自動車)向けのバッテリーパックカバー材を生み出したり、他社との連携で新たなソリューションを生んだ事例から、社内外の事業連携をさらに推進していく。
ただ、足元では例えば石油化学などを手掛けるケミカルズ事業では売上高横ばい、利益が低迷するなど、化学業界でも利益率の低さが課題となっている。この要因を筑本氏は「投資判断、事業運営などに規律がなかったという一言」と話す。この改善に向け、事業選別や事業運営にそれぞれ基準、原則を設けた。
売却が取り沙汰された田辺三菱製薬は注力領域から外し、「ベストパートナー」を探すとして、引き続き売却を視野に検討を続ける方針。
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課題とされた石化再編は、西日本で旭化成、三井化学との間で、「基盤原料供給共同プラットフォーム」という共同事業体の立ち上げを目指し、脱炭素技術や生産能力削減を検討していく。
産業ガスや医薬が利益を支える体制から、高機能素材で利益を上げる姿への変革を目指す。ジョンマーク・ギルソン氏体制から役員も大幅に入れ替え、構造改革の加速を進められるか。