≪NECがグループ再編≫ 上場子会社・NECネッツエスアイを完全子会社化

親子上場の解消に向けて…

 

 NECがグループ再編を加速している――。

「今回の再編により、全国規模で自治体やSME(中堅・中小企業)へのDXソリューションの提供が可能な、工事機能を持ったSIer(システムインテグレ―ター)というユニークな事業体をつくることができる」

こう語るのは、NEC社長の森田隆之氏。

 NECが上場子会社NECネッツエスアイに対して、株式公開買い付け(TOB)を実施する。買い付け金額は2355億円。

 もともとNECの工事部門が独立したNECネッツエスアイは、キャリア向け工事やDX(デジタルトランスフォーメーション)コンサルティングを手掛けている。人手不足や生産性向上への課題から、企業や自治体のデジタル対応やDX需要は旺盛で近年、ネッツエスアイの業績は堅調。

 NECは同社を完全子会社化することで、デジタル需要を取りこみ、ITコンサルから工事、保守まで、一気通貫で提供可能な事業体制を構築する。

 NECは24年3月期に電子部品の日本航空電子工業を非連結化した他、今年7月にリース子会社で持分法適用会社だったNECキャピタルソリューションの株式の一部をSBI新生銀行に譲渡。ITサービスに経営資源を集中する考えだ。

 IT業界を巡っては、昨年、伊藤忠商事が連結子会社の伊藤忠テクノソリューションズへTOBを実施。約3800億円を投じて完全子会社化した他、今年11月にはSCSKが通信ネットワーク構築を手掛けるネットワンシステムズに約3500億円を投じて、完全子会社化を目指すと発表したばかり。

 いずれも旺盛なデジタル・DX需要を取り込むのが狙いで、今後もIT業界を巡る再編は続きそうだ。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト・熊野英生の見方「石破茂首相の経済政策」