【『LINEギフト』を追随】「AnyGift」、1年間で200社が導入 手軽にeギフトを実装可能

AnyReachが提供するeギフトサービス「AnyGift」の導入社数が急速に拡大している。2024年10月と2023年10月を比較すると、「AnyGift」の導入社数は前年と比較して200社ほど増えている。導入すると、企業は自社ECサイトで気軽にeギフトを提供できるようになる。直近では、Z世代向けのアパレルを販売するyutoriや、エステティックTBC、吉野家などが導入している。なぜそこまで急速に導入社数を拡大できているのか。実際に導入しての手応えも含めて、中島功之祐代表に聞いた。

<住所を知らなくても贈れる>

――貴社が手がけるサービスについて伺いたい。

当社は主に3つの事業を手がけている。その中で、「AnyGift」が中核の事業となっている。「AnyGift」は相手の住所を知らなくてもLINEやメールでギフトを贈れる"eギフト機能"を、自社ECサイトに組み込めるサービス。

贈り主は購入が完了すると発行されたURLを贈り先に送付するだけで完結する。LINEで送ったり、XのDMで送ったり、Facebookのメッセンジャーで送るだけで、ギフトを簡単に贈ることができる。

最近では、SNS上だけでつながっていて、相手の住所を知らないというケースも増えている。そのようなときに、相手の住所を知らなくても簡単にギフトを贈れるeギフトは重宝されている。

「AnyGift」を導入することで、今までよりも自社ECサイトにおけるギフトの購入、リピーターの増加につながる。売り上げを伸ばし、顧客やギフトを受け取る人をファンに変えていくことが可能だ。

――似ているサービスだと「LINEギフト」も存在する。「LINEギフト」との違いは?

ソーシャルギフトサービス業界だと、「LINEギフト」が最も大きいプレーヤーだと感じている。

「LINEギフト」は日本最大級のコミュニケーションツール「LINE」が紐づくため、圧倒的な利用者数がいる。その中で、「LINEギフト」と「AnyGift」の違いは、「AnyGift」を自社ECサイトに導入すると、贈り方は「LINE」だけではないということだ。先ほど申し上げたようなSNSのDMなどでもギフトを贈ることができる。

――サービスの提供開始時期は?

2021年10月にサービスを開始した。もともと並行して、さまざまなサービスの開発構想はあったものの、やはり「ギフト」というところと、ギフトの中でも「LINEギフト」に追随するサービスがなかったこともあり、ニーズは高いのだろうと推測していた。

<広告費は1円もかけていない>

――サービスの提供を開始して、まだ2年半だと思うが、それでもここまで成長できている要因はなにか?

複数あると思っているが、拡大するギフト市場の中で、自社ECサイトでeギフトを気軽に提供したいと思う企業が多かったからだと推測する。

当社の顧客には、「LINEギフト」に出店している企業もいるが、やはり皆さんそれだけではなく、自社で完結したいと考えている企業もいるのだとみている。

また、1社に導入が決まると、導入企業がプレスリリースを配信してくれたりして、認知度が拡大している。例えば、ある菓子企業が導入したら、「あの会社が導入したのか、当社も確認しないと」のように、他社の情報をチェックしている企業もおり、そうして認知が広がり、導入につながっている。

「AnyGift」を導入していただくと、ページに「AnyGiftとは何か」というようなボタンも出る。実はそこに「AnyGift」は何かという被リンクも入れているため、ボタンのクリックが増えれば増えるほど、被リンクでSEOで上位表示されるようになる。広告費はこれまで1円もかけていないのだが、自然と導入につながる仕組みを構築できている。

――現在の導入企業数は?

約650社だ。売上高も2024年9月期の売上高は前期比約10倍に拡大した。

――リリースを見ると吉野家や大手企業の導入が続いていると思う。やはり大手企業との相性が良いのか?

決してそういうわけではない。どちらかというとギフトに強い会社だったら相性は良い。中小企業でも、ギフト商品をきちんと用意されていて、梱包も丁寧で、商品力が強かったら相性は良い。

――導入して売り上げが向上したなど、事例についても伺いたい。

具体的な社名はお伝えできない。だが、ある食品企業だと、「AnyGift」専用のページを作り込んだり、「AnyGift」を訴求するバナーを設置したり、クリスマスなどのシーズンイベントでもバナーを設置して、それをSNSで発信したりした。購入してくれた人には限定クーポンを配布して、再度の購入を目指した。

企業の中には、”ただ導入して終わり”という企業もいるが、それでは意味がない。きちんと工数をかけて実施する必要がある。あとは、「AnyGift」専用の商品を作っている企業は比較的売り上げが高い。

――「LINEギフト」ではギフトを選び直せる機能も提供している。「AnyGift」ではどうか?

選び直せる機能とは少し違うかもしれないが、豊富な商品の見せ方で間違った商品を購入しないことを目指している。

イブサンローランで展開している施策だが、リップを購入したい場合、1~20の全てのリップの商品を提示して、受け取り人が好きなものを選択できるようにしている。Aというブランドの1という商品を提示するのではなく、Aのブランドの全てのリップを提示して、「どうぞお好きなものを受け取ってください」という仕組みにしている。

さらに在庫の連動もしているため、18番のリップが品切れになったら、受け取り人がリップを選択するとき、自動で18番のリップは選べないようにしている。

――今後の展望についても伺いたい。主軸は「AnyGift」か?

基本はギフトに軸足を置きながらも、今後はさまざまな領域に派生的に進出していくことを検討している。現在、当社では結婚式の引出物サービス「AnyGift Wedding」や、販促サービス「Any Campaign」などを展開している。販促サービスはギフトという名前は付いているが、内容はかなりマーケティング寄りになっている。