米国政府は11月15日(米国時間)、米商務省がTSMCの子会社「TSMC Arizona」に、CHIPS and Science法(CHIPS法)に基づく商業半導体製造施設向け資金提供インセンティブ・プログラムの一環として、最大66億ドルの直接資金(補助金)を支給したと発表した。

これは2024年4月8日に発表された「拘束力のない暫定的な覚書」に従い、商務省によるデューデリジェンス(資金授与に先立つ適格性審査作業)が完了したためで、アリゾナ州フェニックスの3つのグリーンフィールド(整地する必要な新たな)最先端半導体工場へのTSMCの計画的な650億ドル以上の投資の一部を支援するものとなる。

バイデン米大統領は、今回のTSMCへの支援について「2年前のCHIPS法署名直後、アリゾナ州を訪れ、TSMCが米国に投資し、米国の雇用を創出し、米国のサプライチェーンを強化するという約束を発表した。以降、米国における半導体への約4500億ドルの民間投資を促進し、12万5000人以上の新たな建設・製造業の雇用を創出し、国家と経済の安全保障を強化するために重要な技術を国内に取り戻すことができた。今回のTSMCとの最終合意は、650億ドルの民間投資を促進してアリゾナ州に3つの最先端施設を建設し、2020年代末までに数万人の雇用を創出することにつながる。これは米国史上最大のグリーンフィールドプロジェクトへの外国直接投資である。この3つの施設のうち最初の施設は2025年初めにも全面オープンする予定であり、これにより数十年ぶりに米国工場でスマートフォンから自動運転車、人工知能を動かすデータセンターまで、最先端技術で使用される最先端のチップを生産することを意味する。これはCHIPS法の実施におけるもっとも重要なマイルストーンの1つであり、これまでの進歩が今後数年間も展開され、全国のコミュニティに利益をもたらすことを確実にしていることを示している」と述べている。

米国のTSMCの3つの工場はフル稼働時、最先端ロジック半導体を月産で数千万個製造する予定で、すでに第1工場(Fab1)の初期の生産歩留まりは、台湾の同様の工場と同等であるとTSMCは発表している。

TSMCが顧客向けに製造する先端半導体は(最先端の1.6nmプロセス、TSMCではA16と呼称を含む)は、データセンターサーバ向けCPUやAI向けGPUの基盤となるもので、米国政府の支援含め、約6000人の直接雇用と、合計2万人を超す建設関連雇用の創出が予想されており、ジーナ・レモンド商務長官は、TSMCが最先端となる1.6nm(A16)をアリゾナで製造することを約束したことに賛意を述べている。

この記事は
Members+会員の方のみ御覧いただけます

ログイン/無料会員登録

会員サービスの詳細はこちら