アドレス通商、自前での冷凍物流を始動 キャパ拡大で新規獲得へ

【EC物流特集2024<3PL>】

アドレス通商は2024年10月1日から、冷凍・冷蔵倉庫の自社運営を始めた。冷凍冷蔵は10年越しの新たな取り組みとなる。これまでを手を組んできた外部パートナー5社とも協業関係を維持する形で自社運営も行っていく。

冷凍冷蔵倉庫の管理に向け、外部パートナーの現場に出向きオペレーションを構築してきた。通販・EC物流のノウハウ、システム、帳票なども応用できるようにして、自社管理でも外部パートナー同様の運営ができる。

自社管理に乗り出したのは、「年末年始の対応」「キャパシティ―の拡大」が理由だ。

同社は例年、テレビ通販など年末商戦に対応している。毎年忙しいという年末対応は半年以上前から準備するが、「去年はキャパオーバーな状態だった」(取締役本部長・久保田修氏)。社員総出で対応に追われたという。

こうしたキャパオーバーへの対応に加えて、荷主からはアドレス通商で自社運営できないか、という要望も相次いでいたそうだ。

自社管理エリアは、本社から近い冷凍・冷蔵倉庫を賃貸する形で、保管庫を含む約1200平方㍍を借りて運用を開始した。「すでに今年の年末は満床状態だ」(課長代理・阿部大史氏)と話す。庫内のオペレーションは約20人をベースに需要に合わせ対応していく。

冷凍・冷蔵の配送タリフ(運賃表)は管理エリアで異なるが、トータルの物量や常温の物流体制を踏まえて配送料を極力抑えた価格にしている。

<近隣と連携生かす>

同社の物流拠点は関東圏に散らばり、各拠点が連携できる距離を保って管理している。

倉庫オペレーションが統一されているため、違う拠点にヘルプで出向いても滞りなく作業を行うことができる。また各拠点で異なる荷主の波動対応にもエリア管理をベースに適切に人員が配置できる。

実際に、自社の冷凍・冷蔵倉庫管理には、他の拠点の人員も業務に加えながら対応する運営を行っている。

<定期案件の受注へ>

自社での冷凍・冷蔵物流の運営を機に、引き続き、冷凍・冷蔵の業務獲得を強めていく方針だ。

取引先はテレビ通販のほか、食品メーカーも多く、冷凍食品の動向を注視しており、販促をさらに強化している状況にある。

こうしたニーズを捉えるほか、定期購入案件の獲得にも乗り出している。「消費者の冷蔵庫にある食品を中心に獲得を進め、ペットやベビー向けの食品も取りにいく」(久保田修氏)と意気込む。

また、オンライン診療が普及していることを踏まえながら、「当社もこの動向を捉えて、オンライン診療などの物流対応も水面下で進めている」(久保田修氏)。次なる成長に向けた新たな動きが始まっているようだ。