三菱電機は、三菱UFJ銀行、衛星データサービス企画(SDS)、加GHGSatの3社と、人工衛星データを利用した温室効果ガス排出量の可視化に関するパートナーシップ契約を締結したと11月15日に発表。観測対象ごとに傾向をモニタリングし、分析した情報を企業・自治体などに提供するサービスの実現をめざす。

  • 人工衛星による温室効果ガス排出量観測のイメージ

4社は、温室効果ガスの削減に取り組む顧客を対象とし、衛星データを利用した温室効果ガスの排出量をわかりやすく可視化したデータを提供するサービスを検討。

三菱電機が開発に携わっている温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)シリーズ衛星による広域観測データと、GHGSatが持つ衛星コンステレーション(多数の人工衛星で編隊を組み、協調動作させるシステム)による温室効果ガスの発生源のピンポイント観測データを融合して活用。継続的に温室効果ガスの排出量をモニタリングすることで客観的で精度の高いデータを提供できるとする。ほかにもたとえば、エネルギーパイプラインのガス漏れなどの異常を通知して事故を防ぐといった、安全管理への寄与もめざす。

顧客は同サービスを利用することで、新規設備を導入することなく、衛星データに基づく温室効果ガスの排出量を把握できるようになる。また、温室効果ガス削減に向けた具体的な目標設定や効率的な進捗管理を行い、透明性・サステナビリティも高められるとする。

三菱電機が現在開発中の温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)は、従来よりも広い範囲をすき間なく、面的に観測可能となる予定だ。このサービスの提供開始に向け、三菱電機ではGOSAT-GWを含むGOSATシリーズ衛星から取得した観測データの処理を迅速化し、顧客にリアルタイムに情報提供するための検討を行う。

さらに、同社が多岐にわたる分野での衛星観測ソリューションサービスで得た知見を活かし、温室効果ガスの観測データに、地理・空間情報などのデータを融合させることで、衛星データをわかりやすく可視化。こうした取り組みを通じてパートナーシップに寄与していくとのこと。

  • 三菱電機が現在開発中の、GOSAT-GWの模型(国際航空宇宙展2024にて撮影)