宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月14日、観測ロケット「S-520」34号機(S-520-34)の打上げを鹿児島・内之浦宇宙空間観測所で実施。衝撃波を推力に換える次世代システム「デトネーションエンジン」の飛行実証実験を目的としたもので、ロケットは正常に飛翔し、南東海上に落下したという。

  • 飛翔中に燃焼するデトネーションエンジンと背景の地球を捉えたアナログ画像
    (C)Nagoya University /JAXA

S-520-34の飛翔結果は以下の通り。

  • 打上げ時刻(日本標準時):11時30分
  • 発射上下角:76度
  • 最高到達高度:217km(打上げ236秒後)
  • 着水時刻:打上げ459秒後
  • 天候:晴れ、北の風3.3m/秒、気温22.2度

今回のロケット打上げの目的は、、次世代の宇宙輸送システムや衛星・探査機の開発に向けた、先進的な推進技術と制御技術の実証実験を行うこと。液体推進剤を用いたデトネーションエンジンシステム(DES2)と、観測ロケット実験データを回収するための回収モジュール(RATS2)の2つの実験機器を積んでいた。

デトネーションエンジンシステムとは、液体燃料と酸化剤の混合ガスが爆発的に反応したときに生じる衝撃波(爆ごう波)を、安全かつ効率よく推力に変換するロケットエンジン技術。2021年に実施したS-520 31号機による実験で、宇宙での飛行実証に世界で初めて成功している。

今回は液体燃料(エタノール)と酸化剤(液化亜酸化窒素)を用いた旋回型のエンジンシステム(DES2)を開発し、宇宙空間で作動させた。今後、実験装置を回収して取得データの確認・評価を行っていく。

JAXAでは同技術について、「実験を通じて得られるデータや知見は、革新的な宇宙技術の実用化に向けた重要なステップとなり、将来の宇宙開発に寄与することが期待される」としている。