シーメンスは10月30日(現地時間)、産業用シミュレーションおよび分析市場におけるソフトウェアプロバイダのアルテアエンジニアリングを買収する契約を締結したことを発表した。
アルテアは、計算科学と人工知能(AI)の領域でグローバルに展開する企業であり、シミュレーションと分析、データサイエンスとAI、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)の分野でソフトウェアとクラウドソリューションを提供している。
シーメンスは、アルテアの機械および電磁気機能に強みを持つシミュレーションポートフォリオが追加されることで、包括的なデジタルツインを強化し、Siemens Xceleratorの一部として物理ベースのフルスイートシミュレーションポートフォリオを提供できるとする。また、アルテアのデータサイエンスとAIを活用したシミュレーション機能により、エンジニアから一般ユーザーまで幅広く、誰もがシミュレーションの専門知識を活用でき、市場投入までの時間を短縮し、設計の反復を加速できるという。さらに同社のデータサイエンス機能を得ることで、製品ライフサイクルと製造プロセスにおけるシーメンスの産業分野における専門知識が引き出されるとしている。
シーメンスによると、この買収でアルテアの株主は1株あたり113米ドルを受け取ることになり、約100億米ドルの企業価値に相当するとのこと。これにより、シーメンスのデジタルビジネス収益は8%と大幅に増加するという。また、特に相互補完性の高いポートフォリオのクロスセルや、アルテアへのシーメンスのグローバルフットプリントやグローバルな産業企業および顧客基盤へのフルアクセスの提供を通じ、大きな収益シナジーを達成すると見込んでおり、中期的には年間5億米ドル、長期的には年間10億米ドル以上の収益効果へと拡大するとした。またシーメンスは短期的でのコストシナジー達成を目指しており、決算後の2年目までにEBITDAの影響が年間1億5000万米ドルを超えることを目指すとのことだ。