情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別委員会の作業部会は、NTT法の見直しに向けた報告書をまとめた。
NTT東日本とNTT西日本の分離は「維持することが適当」と明記。電柱や光ファイバー網などの通信設備もNTT東西が引き続き管理する必要があると指摘したが、他の事業者が公平に利用できない場合は両社からの切り離しを検討すべきだとした。
一方で、NTTに課されている全国一律の固定電話サービスの提供義務については、他の通信事業者が事業展開していない地域に限定するよう求めた。対象は従来型の固定電話だけではなく、携帯電話の電波を利用した固定電話の活用拡大も認めた。従来型固定電話の利用者がいる地域では、NTTの撤退を制限することを提言した。
別の作業部会では経済安全保障の在り方も検証。外資による3分の1以上の議決権保有を禁止するNTTへの出資規制は「維持することが適当」との報告書をとりまとめた。NTTは規制見直しを要請していたが、報告書はNTTが光ファイバー網や電柱など国内の通信インフラを支える公共的な役割を担っている点を重視し、経営から外国の影響力を排除する重要性を指摘した。
この他、外資規制の順守状況を定期的に確認する制度の導入も提案。NTTが求めていた他の国内通信大手への外資規制の導入は、「慎重に検討することが適当」との表現にとどまった。
特別委は昨年9月にNTT法見直し議論を開始し、研究成果の開示義務撤廃を柱とする改正法が成立した。付則には、NTT法廃止を含めた制度の在り方を検討し、来年の通常国会をめどに関連法案を提出する方針が盛り込まれている。
村上誠一郎総務相は「国民や利用者の目線であるべき施策を議論することが必要だ」と述べており、関連法案の提出に向けた審議を急ぐ構えだ。