岩手大学とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は11月5日、岩手大学農学部動物科学科3・4年生および大学院総合科学研究科農学専攻動物科学コース1・2年生を対象に、NTT Comが開発したノーコードAI開発ツール「Node-AI」を用いてプログラミングを行わずに直感的操作でデータサイエンスやAIの理論と実践を学ぶ「データサイエンス実践基礎」講義を11月8日に開始することを発表した。
実施の背景
岩手大学は6月に農学部附属畜産飼料総合教育研究センターAFSeC(Animal Feed Science Center)を発足した。農業や畜産業は経験や勘に頼るプロセスが多く存在するが、飼料生産や流通の効率化のためにデータサイエンスによる科学的な分析とAIによる予測に基づいた意思決定が必要とされる。そこで同センターでは、飼料流通・データサイエンス(DS)部門を設置し、IoTを活用したデータ収集やデータサイエンスの取り組みを開始した。
しかし農学分野ではデータサイエンスを応用できる人材の養成が進んでおらず、教育カリキュラムの整備不足や、実際の農業および畜産業の場面で活用できる実践的なスキルを学べる環境が限られているといった課題があったという。
これに対し、NTT Comは「Node-AI」を活用して学生や教員がデータサイエンスやAIの技術を体系的に学習できる、データサイエンティスト養成プログラムを開発。AI活用の促進に障壁となっていたデータ分析のプログラミングについても、ノーコードAI開発ツールの導入によって高度なプログラミングをすることなくデータ分析のプロセスに集中できるという。
講義の内容
講義では、理論を中心とした座学と「Node-AI」を活用したハンズオン演習を実施する。データ分析に必須な要素をテーマごとに扱い、生成AIや因果推論といった技術についても解説する。また、NTT Comが独自に開発したWeb教材「Node-AI Academy」および「ごちきか」などを活用した教材を提供する。
講義は各回100分の全14回構成。前半10回で機械学習に関する基本的な概念や分析手法、実践演習に必要となる理論を学ぶ。後半4回では小グループでPBL(Project Based Learning:課題解決型学習)形式のデータ分析演習を行う。
データ分析演習では実データや実課題を用いた演習など、社会での実例を題材にして学ぶことで、成功の基準の設定、可視化、前処理、モデルの構築、学習、モデルの評価、得られる価値の検証に至るまで、データ分析プロジェクトを通してで実践的な力を養う。