富士通と東京証券取引所(以下、東証)は11月5日、東証の株式売買システムをリニューアルし「arrowhead4.0」として運用を開始したことを発表した。2010年1月に稼働を開始した「arrowhead」は今回で4世代目となる。
今回のリニューアルでは市場の利便性向上のため、クロージング・オークションの導入や、注文ごとに相場情報を配信する新サービスの提供、機関投資家などのユーザー単位での注文一括取り消し機能の導入などを実施。また、利用者の取引機会を最大化するために取引時間を30分延伸するとともに、システムのレジリエンスを強化している。
市場の利便性向上
後場の最後の売買である大引けの重要性が高まる中で、終値形成における透明性の向上を目的として、後場(12時30分から15時30分)のうち15時25分から5分間の注文受付時間を設けた後に、15時30分に板寄せを行うクロージング・オークションを導入する。
クロージング・オークションによる板寄せでは、従来の板寄せの条件で約定しない場合でも、一定の条件を満たす場合に売買成立可能値幅の上下限で時間優先により注文を約定させることで、終値成立機会を向上させる(特別約定)。
また、相場情報を注文ごとに配信する「Market by Order型」の相場情報サービスを提供開始する。これにより、相場情報サービス利用者はこれまでの値段ごとに集約した相場情報に加え、注文ごとのより詳細な相場情報を取得できるようになる。
取引機会の最大化
投資家の取引機会を拡大し市場としての利便性を向上させるため、東証の取引終了時刻を15時00分から15時30分へと30分間延伸する。
レジリエンスの強化に向けては、メモリ上に配置した取引情報を三重化して複数サーバで並行動作させることにより、障害時における秒オーダーでのサーバ切り替えやデータの保全性を確保する。