Space BDは11月5日、同社が手掛ける国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」からの超小型衛星放出事業にて、岩手県 花巻北高等学校の生徒が開発に携わった人工衛星「YODAKA」をドラゴン補給船に搭載し、SpaceX「Falcon 9」ロケットによって同日11時29分(日本標準時)に打ち上げられたことを発表した。
花巻の高校生も携わり開発した人工衛星がついに打ち上げ
Space BDは、宇宙をテーマに花巻を盛り上げるために誕生した合同会社のSPACE VALUEとともに、“「×(かける)宇宙」で花巻をUPする”をスローガンに掲げた「花巻スペースプロジェクト UP花巻」を展開している。同プロジェクトは、地元の高校生を巻き込んだ人工衛星開発プログラムと、宇宙を題材として地場産業に新たな価値を創出することを目指す地場産業応援プログラムという2つの取り組みからなり、教育・産業・観光などさまざまな角度から宇宙による“UP”を目指すもの。またプログラムには花巻にゆかりのある若者にも参加してもらうことで、未来の花巻を担うリーダーの育成も視野に入れているとする。
そんなUP花巻の一環として企画されたのが人工衛星であるYODAKAの開発で、花巻北高校の生徒たちがミッション設定に携わり、アークエッジ・スペースが人工衛星の開発・製造・運用を実施した。そして今般、SpaceXが運用するNASA(米国航空宇宙局) 31st Commercial Resupply Service mission (SpX-31)としてFalcon 9に搭載され打ち上げられた。
“宇宙を旅する短歌”一般応募は12月25日まで
YODAKAのミッション設定に際しては、2022年に高校2年生(当時)がプレゼンを行うミッション決定会を開催。そして、“地球周回軌道にいるYODAKAに、地上から短歌の上の句と下の句を別々に送信し、偶然に出会った組み合わせの短歌(連歌)を作成する”というアイデアが大会を勝ち抜き、ミッションとして決定された。そしてそれからおよそ3年が経過した今では後輩たちに任務が引き継がれ、現在の高校1・2年生を中心としてミッションに取り組んでいるという。
今回のミッションでは、YODAKAに送信する内容のうち短歌の上の句(5・7・5)は全国から募集し、下の句(7・7)はプロジェクトに携わる花巻北高校の高校生が作成するとのこと。そのテーマは「夜空」で、どんな下の句と出会うのかを創造しながらオリジナル作品を作ってほしいとしたうえで、「みなさんの短歌が宇宙空間にいるYODAKAまで旅をして帰ってきます」とした。
なお、YODAKAへと送信する上の句の一般募集は応募フォームから受け付けており、締め切りは2024年12月25日の23時59分となっている。