NECは10月30日、製品や部品の長期供給・保守が可能なファクトリコンピュータ「FC98-NXシリーズ」の2Uラックマウントタイプにおいて、CPU、メモリ、ストレージなどを強化し、従来比最大約1.8倍の性能向上を図った新機種「FC-R03W」「FC-R03T」を販売開始することを発表した。
販売の背景
近年、スマートファクトリをはじめDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進む製造業界では、生産性と品質の向上を目指して、装置や各種センサーから得られる大量のデータをリアルタイムに収集・可視化し、AIを活用して現場で分析・予測・制御するニーズが急速に広がっている。
さらに、放送や医療分野では高精細な画像、また、ビルや公共施設では大量の映像データを扱うニーズが拡大しており、現場において大容量データを高速かつ高精度に処理しながら、高い信頼性と長期的な運用が可能なIoTシステムの構築が求められている。
新製品の特徴
新製品では、上位機「FC-R03W」にインテル Xeon Gold 5418Y Processor(2.00GHz/24コア)、下位機「FC-R03T」に同Xeon Silver 4410Y Processor(2.00GHz/12コア)を搭載した。
さらに、メモリには新たにDDR5 SDRAMを採用し、最大搭載メモリ容量を2Wayモデルで512GB、1Wayモデルで256GBまで拡張可能にするとともに、ストレージではNVMe SSDを新規に採用し、960GBと3.8TBの従来に比べてより大容量なディスクドライブを用意した。
これら強化により上位機では約1.3倍、下位機では約1.8倍処理性能を向上し、生産性や稼働率向上などに求められる画像や映像をはじめとした大量データのリアルタイム処理に対応する。
なお、同製品では奥行き531ミリメートルのコンパクトな筐体サイズや固定ディスク、電源ユニット、空冷用ファンのホットスワップ対応による可用性、耐環境性(動作温度0~45℃、耐振動、耐ノイズなど)、高信頼設計(長期供給部材の選定、冗長電源、RAID構成など)を継承しており、現場における過酷な利用条件下での安定稼働にも貢献する。
また、長期供給・保守が可能なグラフィックスアクセラレータ「NVIDIA RTX A2000」のオプションも選択できるようになり、各種監視システムや画像診断・検査システムなどの画像解析、ディープラーニングをはじめとするAI 利活用事業に求められる高性能化に対応することで大容量データ利用時の負荷軽減に対応する。
さらに、従来機種と同様に5年間の長期供給と、供給終了から最大10年間の保守受付にも対応し、Support Packでは装置納品を基点に15年間の保守サービスを提供することで、顧客システムの長期安定運用を支援する。なお販売目標は、今後5年間で1万台以上を目指す方針。