シニア向け完全栄養食ブランド「Me TIME FOODS」のLacuS、1億円超を資金調達 製造体制を強化

シニア向け完全栄養食ブランドを展開するLacuS(ラコス)は10月29日、エクイティファイナンスによる1億円超の資金調達を実施した。調達した資金は、「Me TIME FOODS」ブランドとしてのSKU拡大、製造拠点となるハイブリッド工場の設置などに活用する。

新しい食生活の形成から包括的社会の実現を目指すLacuSは、国内の高齢化が進む中で、身体レベルの低下、摂食・嚥下などの機能低下によって食事の質を犠牲にせざるを得ないという課題に着目。予防医療の段階から人生の最後まで寄り添うことが出できる食品ブランド「Me TIME FOODS」の開発を進めてきた。

2024年3月には、世界初のシニア向け完全栄養食ブランド「Me ICE」の販売を開始。アイスクリームという嗜好性の高さと、摂食・嚥下に考慮した食体験の良さ、高い栄養配合が評価され、新潟県内の介護福祉事業所や調剤薬局を中心に導入されている。在宅介護世帯へのアプローチも行っており、「Amazon」ではカテゴリ別売れ筋ランキング1位を獲得するなど、多くの利用者から好評を得ている。

このほど、シリーズAラウンドにて、ケップルキャピタル(ケップル DX1 号投資事業有限責任組合)、Future Food Fund(Future Food Fund 2 号投資事業 有限責任組合)、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンマーケティングジャパン未来投資事業有限責任組合)、アスクキャピタル、他エンジェル投資家を引き受け先とし、エクイティファイナンスによる1億円超の資金調達を実施した。

1stプロダクトであるシニア向け完全栄養食「MeICE」の販売を経て、利用者、支援者からの評価と声援を受け、さらなる事業拡大の機会を感じることができたとし、調達した資金は、「Me TIME FOODSブランド」としてのSKU拡大、新潟市内の製造拠点となるハイブリッド工場の設置、モール型EC、および自社ECの強化、CXO候補、専門職人材の採用などに活用する。

▲LacuS 代表取締役 古津瑛陸氏

今回の資金調達にあたり、LacuS 代表取締役 古津瑛陸氏は、「今回ラウンドでは、VC、CVC、エンジェルなど多様な背景を持つ投資家の方々にご支援をいただきました。『超高齢社会に伴って顕在化した被介護者の食体験の低さ』という国内喫緊の課題に対し、共感をしていただきましたこと、大変感謝しております。本事業は、私の曽祖母が原点でした。大好きなお寿司が食べられなくなり、身体レベルと共に低下する食体験を目の当たりにしたことが始まりです。皆さんのご家族、大切な方々に、人生の最期まで寄り添えるフードテックブランド『Me TIME FOODS』を日本、そして世界に届けられるよう全力で取り組んでまいります」とコメントした。

【投資家からのコメント】

・ケップルキャピタル プリンシパル 多田摩耶氏

古津さんの人を巻き込みつつ前進していく実行力が素晴らしく、出資することができ嬉しく思います!

思うように食べることができない人は高齢者を中心に多くおられますが、「Me ICE」は経口喫食が難しくなった方でも喜ばれるとのことで、高齢者に向き合う管理栄養士の方からも高い評価を受けています。

同社の提供する「心にも身体にも嬉しい食体験」は、人がその一生を最後まで走り抜ける活力となり、今後の超高齢社会に大きなインパクトを持つと期待しています!

・Future Food Fund ファンドマネージャー 村田靖雄氏

古津さんは、開志専門職大学発1号ベンチャーとして起業しています。縁は、私たちがJR東日本さん、オレンジページさん、CAMPFIREさんと共催する「K,D,C,,, Food Challenge」イベントにエントリーされたことなのですが、当日、病気でピッチに来られず、良い商品であるものの、オンライン参加なことも一因で優勝できず残念だったのが印象的です(投資検討はその後ゆっくりとお話ししたことがきっかけでした)。LacuSは、アイスクリームを使って嚥下食を作ったということで、非常に面白いアイデアだなと思っています。

当社で言うとシダックスのような市場でも使えますし、日本ではユーザーが増える市場だと考えます。当社でもヘルスケア事業をやっていますが、病気等が原因ではあっても、最終的には食べることができず亡くなっていく人が多いので、そんな状況になっても豊かな食生活が送れる商品を作ってくれることを期待しています。

・キヤノンマーケティングジャパン R&B推進センター所長 石田直也氏

キヤノンマーケティングジャパンとして新たな取り組みとなる「食」領域に、LacuS社と挑戦できることを大変嬉しく思います。同社の完全栄養食アイス「MeICE」は、誤嚥リスクが少ないながらも食べ応えや栄養補給など、従来の製品では解決しきれなかった高齢者の食ストレスを解消し、Well Beingを向上できる可能性を感じています。

またLacuS社のプロダクトや技術力への魅力は勿論、古津CEOが持つ行動力や熱量に感銘を受け、今回ラウンドに参画させていただきました。

この度のCanon Marketing Japan MIRAI Fundからの出資を通じて、LacuS社と我々のアセットを掛け合わせ、共に想像を超える未来を切り拓いていきたいと思います。

・グローバル・ブレイン General Partner 木塚健太氏

LacuS社は「新しい食生活の形成から、包括的社会を実現する」というミッションを掲げ、高齢者向けの完全栄養食による高い食体験の提供を通じて、日本の高齢者を取り巻く社会課題の解決に取り組んでいます。

設立から約2年半ではありますが、介護事業所向けに豊富な有償導入実績を有するほか、24年春には第1弾商品である完全栄養食アイスのブランド「Me ICE」をECサイトおよび実店舗で展開し、市場からも高い人気を得ています。

グローバル・ブレインはLacuS社のビジョンや優秀な経営者、魅力的なプロダクトや市場の成長性を高く評価しており、キヤノンマーケティングジャパン社とも連携しながら密に支援してまいります。

・医師、ヘルステックプロモーター 医療法人向生會理事長 上田悠理氏

医師として、高齢者の在宅医療に日々取り組んでいる中で、「人生の最期まで、おいしく食べたい・食べてほしい」はご本人、ご家族にとってとても切実な願いです。

「あと1口でいい、もう少し食べてくれたら…」と歯がゆい思いをしたことは枚挙に暇がありません。このペインを解決する、「食」をサポートするLacuS社を今回応援できることを大変光栄に思っております。

同社の完全栄養食アイス「MeICE」が実現する、おいしいからつながるいのち、そしてその先の幸せにコミットする古津CEOの熱意とスピード感、そして高齢先進国日本から、グローバルに飛躍できる可能性のあるLacuS社が魅せる世界観を、共に開拓していきたいと思います。