TOPPANは10月30日、複数のバーチャル店舗を集約したメタバースモールサービス「メタパ」をベースに、自治体での利用に特化した機能を実装した自治体向けメタバースサービス「メタパ for 自治体」の提供を11月5日から開始することを発表した。
同サービスは、第1弾として愛知県名古屋市に採用され、ひきこもり支援のためのメタバース空間を提供している。
「メタパ for 自治体」の特徴
これまで多くのメタバースサービスにおいて、空間内の掲載画像、動画、テキスト情報などのコンテンツ更新は、開発者側での手作業による差し替えやアプリ更新が必要などの理由から、煩雑で時間を要していた。
同サービスでは、導入自治体が管理者となり、管理画面から手軽にメタバース空間内のコンテンツ更新が可能。自治体における災害情報やイベント告知、行政サービスの案内など、住民への迅速な情報提供が必要な場面でタイムリーな情報発信を実現する。
また、TOPPANが提供する3Dアバター自動生成サービス「MetaCloneアバター」と連携したアバターの生成も支援することにより、住民になじみのある首長やマスコットキャラクターなどのオリジナルアバターを活用したメタバース空間での体験を提供できる。
アバターはVRM(Virtual Reality Model)形式のファイルで事前に登録が可能なため、登場させたいメタバース空間へすぐに活用することが可能。
加えて、24時間体制で窓口対応できる生成AIを活用したNPC(ノンプレイヤーキャラクター)スタッフも配置できる。
RAG(検索拡張生成)を活用し、予め自治体が用意したデータのみを参照し、AIが自動で回答することで、住民はいつでも自治体への問い合わせができるため、住民サービスの向上に寄与するという。
さらに同サービスでは、テキストや音声チャットのログの取得・保存が可能。例えば、住民からの要望に対する対応履歴を記録しておくことで、後日発生する可能性のある類似の相談などの迅速な対応・解決に寄与する。メタバース上でのログの取得・記録により、対応の透明性を高め、住民にとっても安心して利用できる環境を実現する。
今後の展望
TOPPANはこれまで培ってきたリアルやデジタル空間でのイベントの企画・運営のノウハウを生かし、地域外の人へ魅力を発信するセミナーや、観光イベント、事業者マッチング等の施策提案や実施も支援する。メタバースを活用することで、距離や身体的制約で物理的な参加が難しい住民も含めた広範囲な住民のイベント参加を実現する。
加えて、住民のアカウント登録や管理が可能な役所の窓口・電子申請業務に向けたセキュリティ強化や防災訓練の体験機能などを実装する計画。