【総務省】村上氏が20年ぶりの入閣 地域の防災力強化打ち出す

石破内閣の総務相に村上誠一郎氏が就任した。村上氏は就任記者会見で、1月の能登半島地震を踏まえ、通信・放送インフラの強靱化や地域の防災力強化などに力を入れる考えを示し、「安全・安心の確保に取り組む」と述べた。

 人口減少が進む中、地域経済の活性化も重点課題に挙げた。「過度な東京一極集中は少子高齢化や過疎が進む地方でいろんな問題が起こっている」と指摘。地域おこし協力隊の隊員数を2026年度までに1万人に増やす目標の実現や、テレワークの環境整備などを進める姿勢を強調した。

「地方こそ成長の主役」として地方創生を重視する石破政権。村上氏は「活力ある多様な地域社会と一人ひとりの暮らしを支えるためしっかり取り組みたい」と語った。

 村上氏は衆院愛媛2区選出の72歳。東大卒業後、議員秘書を経て1986年に初当選し、当選12回。2004年に小泉内閣で行政改革担当相に就いて以来の入閣となった。安倍政権には批判的な発言を繰り返し、故安倍晋三元首相を「国賊」と表現し、自民党の党役職停止1年の処分を受けたこともある。

 当時の発言を巡り、村上氏は「ご遺族に謝罪し、そのことについては終わったものと考えている」と釈明。アベノミクスの再検証については「いろんな評価はあると思うが、個人的な見解は控える」と述べるにとどめた。ただ、「私はよく批判的な立場と言われるが、論理的におかしいことはおかしいと言うので、感情的にものを言ったつもりはない。そこはご理解いただきたい」とも語った。

 安倍政権とは距離のあった村上氏は石破茂首相とは近い立場だ。総裁選で石破氏の推薦人を3回連続で務めた。

 旧安倍派の議員から総務相就任に批判的な声もあるが、「選挙を控えているので、党内融和を図り1議席でも多く勝てるよう、みんなで知恵と力を合わせるのが私の職責と考えている。感情的なあれは一切ない」と語った。

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