ExtremeTechは10月25日(現地時間)、「US Copyright Office Grants DMCA Exemption for Ice Cream Machines」において、米国著作権局(United States Copyright Office)がアイスクリームマシンをデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の対象から除外する決定を行ったと伝えた。
ExtremeTechによると、マクドナルドなどのチェーン店で使用されているアイスクリームマシンは、その制御ソフトウェアがDMCAで保護されており、故障が発生してもオーナーが自前で修理できずに復旧まで長期間待つ必要があったという。
DMCAにアイスクリームマシンが関係する理由
ExtremeTechは、米国では、マクドナルドのアイスクリームマシンの故障率が高いことはすでに消費者の常識になっていると指摘している。次のWebサイトでは、全米のマクドナルドにおけるアイスクリームの在庫切れを追跡し、地図上でその様子を表示している。全米での現在の故障率は15%近くに達しており、ニューヨークでは30%を超えている。
もし、これらのマシンをオーナーが独自に修理や改良しようとした場合、制御ソフトウェアにかけられたDRM(デジタル著作権管理)が障壁になるという。DMCAのセクション1201では、著作権で保護された作品のデジタル保護装置を回避することは違法とされている。多くの企業は、マルチメディアコンテンツだけでなく、さまざまな製品に搭載されるソフトウェアに対してもDRMで保護している。したがって、このDRMを回避してマシンを改良した場合、DMCA違反に問われる可能性がある。
ただし、DMCAには定期的に例外の適用を審査する仕組みもある。今回、iFixitとPublic Knowledgeがさまざまな産業機器に対してDMCAの免除を申請した結果、そのうちの「小売レベルの食品調理機器」に関しては免除が認められたとのこと。残念ながら、申請対象となった多くの産業機器では免除が認められなかったものの、アイスクリームマシンはこの「小売レベルの食品調理機器」に含まれるため、免除対象になるという。事態の経緯はPublic Knowledgeによる次のプレスリリースでも伝えられている。
ソフトウェア業界や、音楽やビデオなどのエンターテイメント業界では、DMCAの影響力の大きさは日頃から強く実感させられるが、それがアイスクリームマシンのようなものにまで及んでいるのは非常に興味深い。
Public Knowledgeでは、「修理の権利を阻む中途半端な法律を少しずつ取り除き、その過程で消費者の勝利を積み重ねていく」として、今後も産業機器に対するセクション1201免除に向けた活動を続ける意欲を見せている。