Malwarebytesは10月22日(米国時間)、「Upload a video selfie to get your Facebook or Instagram account back|Malwarebytes」において、MetaがFacebookおよびInstagramのアカウント回復に顔認識技術をテストしていると伝えた。パスワードを失念したり、アカウントを乗っ取られたりした場合に身元を確認する最も簡単な方法として、ビデオセルフィー認証のテストが行われているようだ。
Metaのビデオセルフィー認証の概要
Metaは10月21日に掲載したニュースにおいて、ビデオセルフィー認証をテスト中であることを明らかにした(参考:「Testing New Ways to Combat Scams and Help Restore Access to Compromised Accounts | Meta」)。Metaのビデオセルフィー認証は、ビデオセルフィー(自撮り動画)をアップロードしてアカウントのプロフィール写真と比較する認証方式とされる。
アップロードしたビデオセルフィーは暗号化して保存され、他のユーザーに開示されることはない。また、一致の有無にかかわらず、比較後に生成された顔データは削除される。
Metaは認証にかかる時間は1分以内で、従来の書面による本人確認よりも簡単で安全性が高いと説明している。しかしながら、Malwarebytesはビデオセルフィー認証について次の問題点を指摘し、あまり好ましい機能ではないと否定的な見解を述べている。
- ディープフェイクの開発状況から推測すると、この技術がアカウントの乗っ取りに悪用される可能性がある
- 比較後に生成された顔データを削除すると明言しているが、保存したビデオセルフィーの削除は明言していない。また、その利用範囲も明らかにしていない
- ユーザーは古い(若い)プロフィール写真を使い続ける場合がある。このようなプロフィール写真では認証できない可能性がある
Metaはビデオセルフィー認証の懸念に対し次のように述べ、防御策と安全策の構築により効果的に対応可能としている。
詐欺師は執拗で、検出回避のために戦術を進化させている。当社は詐欺師の一歩先を行く決意を固めており、検出および機能の強化のため、新しい技術的防御の構築とテストを継続する。
有名人のなりすまし対策
Metaは同ニュースの中で有名人のなりすまし広告対策についても明らかにした。現在、自動化された技術により毎日数百万もの広告を審査しているが、ここにプロフィール写真と比較する顔認識技術を適用し、詐欺広告を検出するという。
初期テストでは有望な結果が得られたことから、今後数週間以内に詐欺被害を受けた有名人を保護対象に登録すると説明している。保護対象に登録された有名人にはアプリから通知が送られ、不要な場合はオプトアウト可能とされる。
また、有名人のなりすましアカウント対策にも同様の検出手法を取り入れることを検討中と明らかにした。すぐにでもテストを開始したいとして、詐欺師対策に積極的な姿勢を見せている。