次の焦点は東電・柏崎刈羽の再稼働
東北電力が、運転停止中の女川原発2号機(宮城県)を10月29日に起動する方針を決めた。2011年に事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)で、BWRとしても、東日本に立地する原発としても事故後初の再稼働となる。発電開始は11月上旬の見通しだ。
東北電によると、今月29日に原子炉内の核分裂反応を抑える制御棒を引き抜き、原子炉を起動する。20年に地元自治体が再稼働に同意し、今年5月に安全対策工事が完了、9月に原子炉内への燃料搬入を終えていた。
東日本大震災時、震源に一番近かった女川原発が停止できたのは、津波の想定を超える高さ14.8メートルに敷地を設定したこと。東電の福島原発はそこまでの津波対策は講じておらず、明暗を分けた。
東電福島第1の事故後、国内の原発は全て停止。これまでに原子力規制委員会の審査に合格し、再稼働したのは全国6原発12基で、いずれも加圧水型軽水炉(PWR)と呼ばれるタイプだ。BWRは、女川2号機に次いで中国電力の島根原発2号機(松江市)が2基目の再稼働となる見込みだ。
武藤容治経済産業相は今月8日の閣議後記者会見で、女川2号機の再稼働について「大いに期待している」と述べた。データセンターや半導体工場の新増設で電力需要の急拡大が見込まれる中、「東日本における電力供給構造の脆弱性などの観点から非常に重要だ」と強調した。
一方で、東京電力ホールディングス(HD)の柏崎刈羽原発(新潟県)は、17年にBWRとして事故後初めて規制委の審査に合格したが、その後テロ対策の不備などが相次ぎ、21年4月、事実上の運転禁止命令が出された。昨年12月に解除され、現在は安全確認のための検査も完了し、地元同意を得られるかどうかが焦点となっている。
ただ、地元は今年1月の能登半島地震をきっかけに災害発生時の避難体制などに不安を募らせる。政府は新潟県の費用負担なしで避難道路を整備するため新たな協議の枠組みを立ち上げるなど、再稼働を後押しする姿勢を強めている。