アドビは10月23日、世界最大規模のクリエイティビティカンファレンスであるAdobe MAXにおいて、「Adobe Digital Academy」を拡大し、次世代の学習者や教師がAIリテラシー、コンテンツ制作、デジタルマーケティングのスキルを習得することを目的とした新たなグローバルイニシアチブを発表した。

Adobe Digital Academyの背景

Adobe Digital Academyが、過去10年にわたって取り組んできたスキルアップと新たなキャリアパスの創出をさらに発展させたこのイニシアチブでは、トレーニング、認定資格、Adobe Expressへのアクセスを提供し、2030年までに世界で3000万人の学習者が需要の高いスキルを身につけることを目標としている。

トレーニングと認定資格は、アドビとCoursera、NGO、小中高校、大学、その他の教育機関との連携を通じて提供される。アドビはまた、奨学金やNGOへの助成金を拠出し、あらゆる学習者が将来のキャリアにつながるトレーニングやツールを確実に活用できるよう支援する。

クリエイターエコノミーの台頭とAI技術の進展により、コンテンツ制作とマーケティングの新しいチャンスがあらゆる業界で生まれている。次世代の人材は、急速に進化する状況の中で自身の活躍の場所を得たいと考えており、専門的なトレーニングと認定資格によって専門的な知識や技術を採用元にアピールすることができる。

プログラムの概要

同プログラムは、さまざまな背景を持つ学習者が社会で活躍し、すべての人々が創造性を発揮することを目指すアドビの理念に基づくもの。アドビは、世界中の人々や組織が自身の持つストーリーを語れるように、寄付、奨学金、製品へのアクセス、パートナーシップなど、この取り組みを含めて今年全体で1億ドル以上を投じている。

アドビはこのプログラムのために、生成AIコンテンツ制作、クリエイティブ&AIスキル、AIを責任を持って倫理的に使用する方法、SNSコンテンツ、マルチメディアコンテンツ、コンテンツマーケティング、マルチチャネルコンテンツや広告などのトピックを網羅した幅広いカリキュラムを開発した。

学習者は、Adobe Expressなどのツールを使用して、高品質なコンテンツを簡単に作成する能力を身につけることができる。また、生成AIを活用して、より創造的かつ視覚的に自己表現する方法を学ぶことが可能。

最初のコースは、最高水準のオンライン学習プラットフォームであるCourseraで現在提供されており、世界中の誰もが自分のペースでクリエイティブスキルやデジタルスキルを学ぶことができる。

希望者は、コンテンツクリエイターおよびグラフィックデザイナーのプロフェッショナル認定資格を取得することができ、さらに2025年初頭にはデジタルマーケティングの認定資格も取得できる。

コースワークはまもなくAdobe Expressに公開され、Behanceコミュニティ向けにも開発中。アドビは、DECA、NPower、Build.org、The King’s Trust、AVID、Girl Scouts of Western Washington、Prathamなど広がりを見せている学校外教育事業者や青少年支援のNGOに新たな寄付を行っている。

これによりNGOが支援する数百万人の学生に、職場での必須スキルに触れる機会と独自カリキュラムの中でのスキル習得の機会が提供されるという。

マーケティングとコンテンツ制作の特別コース

またアドビは、将来に直結するキャリアパスを作ることにも重点を置いており、既存のAdobe Digital Academyの提携先であるGeneral Assembly(技術系人材の育成と研修を提供する代表的企業)との提携を拡大し、マーケティングとコンテンツ制作の特別コースをプログラムに追加する。

コースの参加者は、ライブおよびオンデマンドのトレーニングとGeneral Assemblyのキャリアコーチング、パーソナルブランディング、ポートフォリオ構築リソースに無料でアクセスでき、修了後の就職活動期間の短縮を目指す。

米国での最初の特別コースは11月に開始予定で、現在応募を受け付けている。米国、英国、インドでの追加コースは、2025年1月に募集開始予定。この特別コースはアドビが全面的にスポンサーとなり、参加者は無料で受講が可能となっている。