婦人下着最大手のワコールホールディングスが、イギリス子会社Wacoal Europe Limited(以下ワコールヨーロッパ)を通じ「Bravissimo Group Limited」(以下ブラビッシモグループ)を4570万ポンド(約85億円)で買収する。
ブラビッシモグループは、Dカップ以上の大きいサイズに特化した下着を、英国の直営店25店舗で販売する。近年、欧米を中心に世界中で「ボディポジティブ」といった考え方が広がる。いわゆる瘦せ型のモデル体型を美しさと定義するのではなく、自分の容姿を否定せずにありのまま受け入れようという価値観が人々の間で広まっており、大きいサイズの下着市場は伸長。ワコールは買収を通じ大きいサイズの市場でのシェアを強めていく考え。日本での販売は未定で、「まずは欧州・欧米市場の売上を拡大する」(関係者)としている。
また、ブラビッシモグループのECはビデオ通話を活用して接客する「バーチャルフィッティング」に強みを持つ。店頭での接客と同様に専門性のある販売員に個別相談ができるシステムで、こうしたオンラインでのノウハウも取り込む。
ワコールHD社長の矢島昌明氏は「今回の連携で消費者との直接的な接点を持つ直営店が拡大し、 ECサイトと実店舗、オンライン・オフラインでのクロスセルが実現する」とコメント。
ワコールHDは2期連続の赤字だが、25年3月期は売上1830億円、営業利益20億円の黒字を見込む。
カジュアル衣料のユニクロが下着に参入し、下着専門店はシェアを奪われているという厳しい現実がある。大きいサイズの新たな市場開拓で今期以降の黒字転換に勢いをつけることができるか。下着専門として生き残るには需要の掘り起こしが必須となる。