10月16日~19日にかけて東京ビッグサイトで開催されている日本最大級の航空・宇宙の総合展示会「2024国際航空宇宙展」。アークエッジ・スペースは、現在進行中の様々な6Uサイズ衛星(1Uは10cm立方)のプロジェクトを紹介していた。同社は多数の衛星や探査機の開発を進めているところだが、これまでの打ち上げ実績としては、3Uサイズまでだった。6U衛星は12月の初フライトが決まっており、順次7機を打ち上げる予定だという。

  • アークエッジ・スペースの6Uサイズ衛星

    アークエッジ・スペースの6Uサイズ衛星。2翼の太陽電池パネルを備える

同社の6U衛星バスは、様々な用途に利用可能。そのために、IoT通信アンテナを備えた基本モデル、姿勢制御能力を向上したリモートセンシング対応モデル、大型展開アンテナを搭載できるモデル、高度な姿勢制御ができる光通信対応モデルなどが用意されている。バスは本体の半分程度で、ミッションには3U程度のスペースが使えるそうだ。

  • 衛星バスは汎用化・モジュール化により、様々な用途に利用できる

    衛星バスは汎用化・モジュール化により、様々な用途に利用できる

その1つが、ソフトバンクのブースで展示されていた光通信衛星である。ソフトバンクは現在、成層圏通信プラットフォーム(HAPS)の研究開発を進めている。HAPSは、電波の基地局を上空に作ろうというものだ。高度は約20kmで、衛星に比べると地上に近く、既存の普通のスマホで通信できるというメリットがある。

  • ソフトバンクのブースで展示されていた光通信衛星の模型

    ソフトバンクのブースで展示されていた光通信衛星の模型

上空の基地局としては、無人航空機の使用が考えられている。バックホール回線、つまり基幹通信網とを中継する回線としては、近くの地上局を使っても良いのだが、大規模災害の発生時には、使えなくなる恐れがある。光通信衛星による中継であれば、地上の影響を受けにくく、さらにインフラが未熟な海外でのサービス展開もしやすい。

  • HAPS向けの大型無人航空機「Sunglider」の模型も展示されていた

    HAPS向けの大型無人航空機「Sunglider」の模型も展示されていた。これは1/10スケールの模型だが、実物は翼幅78mとかなり大きい

このアークエッジ・スペースの光通信衛星では、その技術実証を行う予定で、10Gbpsの双方向通信が可能だという。衛星も航空機も動いているため、光通信のためには高精度な追尾が求められるが、最初に粗追尾を確立してから、ビームを絞っていく方法を採用するということだ。

また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のブースには、VDES実証衛星の模型が展示されていた。注目は、長さが1mにもなるアンテナを、1U程度のスペースに格納しておき、軌道上で展開するということ。VDESは、現在のAIS(船舶自動識別システム)をより高度に発展させる技術。この衛星は2025年1月の打ち上げ予定とのことだ。

  • NEDOのブースで展示されていたVDES実証衛星の模型

    NEDOのブースで展示されていたVDES実証衛星の模型