京セラドキュメントソリューションズは10月17日、京セラが製造する積層セラミックチップコンデンサ(MLCC)の生産工程で使用するPETフィルムを、複合機やプリンタの部品へとアップサイクルする技術を確立したことを発表した。
エコロジー(環境性)とエコノミー(経済性)の両立を追求しながら持続的な発展を目指す「環境経営」に取り組む京セラグループは、これまで経済活動の中で廃棄されていた製品や原材料などを“資源”として捉え、リサイクル・再利用などにより循環させるサーキュラーエコノミーを重視しているとのこと。そして廃棄物ゼロを目指し、部門間を越えた資源循環活動に積極的に取り組んでいるとする。
これまで、京セラが製造するMLCCの生産工程で使用されるPETフィルムについては、産業廃棄物としてCO2を排出するサーマルリサイクルに依存した処理方法しかないという課題が残されており、焼却処理に伴う環境負荷として年間約5500tものCO2が排出されていた。
そこで今般京セラドキュメントソリューションズは、MLCCを製造する京セラの電子部品事業本部との間で協力し、廃棄予定のPETフィルムをリサイクルPET材料にして、複合機やプリンタの部品へと転用する技術を確立したとする。なお今回転用される部品は、複合機やプリンタの消耗品であるトナーを充填するケース(トナーコンテナ)などだといい、今後は再生材を使用したトナーコンテナへの置き換えを目指しているとする。
このアップサイクル実現により、PETフィルムを廃棄することなく複合機やプリンタの部品へと生まれ変わらせることが可能になる。同社によると、今後はトナーコンテナだけでなく内部部品や外装部品にまで展開し、再生材使用率を一製品あたり50%まで高めることを目指すとした。
京セラドキュメントソリューションズは、今回が京セラグループ内で初めてアップサイクルにを実現した事例だとした上で、今後も同様の取り組みを通して、持続可能な社会の発展に貢献していくとしている。