10月15日から18日までの4日間、デジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2024」が幕張メッセにて開催されている。“Innovation for All”を開催テーマに掲げた同イベントは、今回が25回目の開催。一瞬も見逃すことのできない開発競争が続くAIを中心に、あらゆる業界・職種の人々にとってのイノベーションが集結している。
ジャパンディスプレイ(JDI)は、同社内ベンチャーとして開発を進める、さまざまな素材の表面をタッチパネルへと変貌させるインタフェース「ZINNSIA(ジンシア)」を紹介。新技術の体験展示を通じて、新たなセンシング体験を提案している。
素材を問わずセンサに帰る新技術「ZINNSIA」
JDIが展示しているZINNSIAは、同社が長年培ったディスプレイ技術およびセンサ技術を応用し開発されたもので、木材や大理石、表皮、布、石膏ボードなど、これまでセンサとしての使用が難しかった素材でも、裏に同製品を組み込むことで指の動きを検知できる点を強みとする。今回のブース展示では、木材や石材などのさまざまな素材に加え、表面が毛で覆われたぬいぐるみのような素材や、芝生を模した素材、柔らかい触感の素材などを用いて、照明の操作を体験できる。
担当者によると、ZINNSIAはスマートフォンやタッチパネルと同じ“静電容量方式”によるセンシングを行うとのこと。その感度も調整することが可能で、非接触でも指が近づくだけで検知することが可能だという。この方式を用いているため、表面に凹凸がある場合や曲面の場合でも、正確なセンシングが行えるとする。また同センサの強みとして、「分厚い素材を介してでもセンシングが可能」という点を挙げた。そのため、薄い形での利用が難しい石材などもセンサとして役立てることが可能で、デザインや素材選択の幅が広げられるとしている。
観葉植物もセンサに? - 触れると音が鳴る葉
ZINNSIAを取り付ける対象は平面に限られるわけではなく、今回のブースでは観葉植物をセンサへと変えた展示も行われた。鉢にセンサを取り付けたこの植物は、葉の部分に触れるだけで音声が発せられる。植物に触れると音声が返ってくる体験には、なんとも不思議な気分にさせられる。
想定されるユースケースとしては、デスクライトのボタンを排除しスタイリッシュなデザインに貢献する場合などがまず考えられるとのこと。またぬいぐるみの中にZINNSIAを搭載することで、“なでる”や“ちかづく”などの操作を検知し、それに対応した反応を返すことなども可能だという。
なお今後の製品化に向けては、さまざまなメーカーとの共創の中でアイデアを探っていきたいとのこと。前出の担当者は「今回のブース展示を通じて、ぜひ実際に触って体験してほしい」と話している。