米国ミシガン州アナーバーで10月10~11日に開催された、車載チップレットへを議論するイベント「Automotive Chiplet Forum 2024」においてimecは、同社が推進する車載チップレット研究プログラム「Automotive Chiplet Program(ACP)」にパートナー10社が参加することを明らかにした。
参加10社はArm、ASE、BMW Group、Bosch、Cadence Design Systems、Siemens、蘭SiliconAuto、Synopsys、Tenstorrent、仏Valeo(ABC順)だが、今後も増える見込みだという。同プログラムは、自動車エコシステム全体の関係者を集め、自動車製造業界における競争以前の基礎的な段階の研究活動を推進することを目指したもので、どのチップレットアーキテクチャとパッケージング技術が自動車メーカーの特定の高性能コンピューティングと厳格な安全要件をサポートするのに最適かを評価し、柔軟性の向上、パフォーマンスの改善、コスト削減など、チップレット技術のメリットを自動車業界全体に広げることを目指しているという。
自動車に搭載される半導体は近年、ADASやIVIの高度化などを背景に、性能向上が求められる一方、燃費/電費の向上のための低消費電力化も求められており、その実現手法としてチップレットに注目が集まっている。imecの自動車技術担当副社長であるBart Placklé氏は、「車載分野でのチップレットの採用により、迅速なカスタマイズとアップグレードが可能となり、開発時間とコストの削減を図ることができる。しかし、この移行は、自動車OEM単独で行う場合、コスト負担が莫大となることから、商業的に活用するためには車載チップレットの標準化を推進し、自動車OEMが市場からチップレットを調達し、独自のチップレットと統合して独自の製品を構築できるかどうかにかかっている」と述べている。
車載チップレット実現に向けた課題
すでに車載以外の分野ではチップレットの活用が進められているが、自動車分野では業界独自の課題もあり、採用にはやや消極的な姿勢が見られていた。最大のポイントは、自動車の一般的な寿命とされる10~15年ほどの継続的な動作と乗客の安全を確保する堅牢性と信頼性の要件を満たす必要があること。また、低コスト化や低消費電力化なども求められるようになっており、同プログラムではそうした直面する課題の解決に挑むこととなる。
同プログラムは、高度な2.5D/3Dパッケージングにおけるimecのこれまでの実績と、自動車バリューチェーンのさまざまな部分からのリソースと専門知識を活用することを予定しており、Placklé氏は、「パートナーの集合的な知恵と手段を活用して迅速に進歩を遂げるこのプログラムの競争以前の共同アプローチから、すべての関係者が重要な洞察を得ると確信している。そうして得た知見は、さらなる研究開発と製品イノベーションへとつながり、パートナー各社の差別化された長期ロードマップを後押しすることになる。この方法論は、過去40年のうちに半導体業界で確立された慣行を反映したもので、長年のノウハウを有する独立した存在であるimecは、自動車製造業界にマッチした新たなチップレットアーキテクチャの開発に導く独自の立場にある」とプログラムを推進する意義を強調している。