ニュータニックス・ジャパン(Nutanix)とDataRobot Japan、日立システムズの3社は10月10日、都内で記者説明会を開き、日本市場におけるAI関連サービスの開発プロセス効率化を目指したパートナーシップを発表した。
AIの構築に適したインフラとソフトウェアサービスを提供
今回の取り組みにより、3社は機密性の高い企業内データセットに適したオンプレミスの生成AIソリューションの提供を実現するため、共同でAIプラットフォームの検証を開始する。
また、日立システムズが国内初の「Nutanix AIコンサルティング&データサービスパートナー」となり、生成AIの業務適用を急ぐ企業に対して、セキュアでフルスタックの企業向けAIプラットフォームからAIコンサルティング&データサービスまでの全体をカバーし、セキュアな環境での生成AI導入を支援する予定だ。
さらに、AIアプリケーションの構築・導入に適したインフラストラクチャとソフトウェアサービスを備えた、機能集約型のAIフルスタックサービスの実現を支援するという。
各社の役割
Nutanixは、エンタープライズAIソリューション「Nutanix GPT-in-a-Box」により、モデルやデータストレージ用の「Nutanix Objects」と「Nutanix Files」に統合されたAI対応スタックの構築をシンプル化し、顧客がデータをコントロールできるようにするという。
また「GPT-in-a-Box 2.0」で提供される新機能は、ビルトインのGUI 、ロールベースのアクセス制御、監査可能性、ダークサイトをサポート。
Nutanix GPT-in-a-Boxは、同社がストレージ機能とGPUをサポートして、そこにフレームワークを載せればすぐにAIの開発が始められるほか、同GPT-in-a-Box 2.0はNVIDIAアクセラレーテッドコンピューティングのサポートを含む。
ニュータニックス・ジャパン 代表執行役員社長の金古毅氏は「当社がGPT-in-a-Boxを提供し、その上でDatarobotのAIプラットフォームが稼働する。そのバックエンドに日立システムズがAIコンサルティング&データサービスパートナーとして、お客さまのAI利用もしくはAIが学習するデータやAIを活用したさまざまなビジネスを支援する」と説明した。
DataRobotは予測AIと生成AIの開発・管理・監視を一元化するプラットフォーム「DataRobot AI Platform」で、さまざまなAIモデルの構築やデータ分析などのプロセスを簡略化するという。
Nutanix上に直接インストールすることが可能なDataRobotを利用することで、Nutanix基盤上で完結したデータ利活用環境を実現し、生成AIをセキュアに利用することが可能となり、生成AIからのビジネス価値を創出するとのこと。
Datarobot Japan 日本法人カントリーマネージャーの馬場道生氏は「AIの適用が進む中でセキュリティとガバナンスが重要になる。協業により、データセキュリティやコンプライアンスが厳しい業界・環境でもクラウドでAIを開発・運用するのと変わらないレベルでAIプロジェクトを進めることが可能となり、部門横断で意思決定を推進できると考えている。全社的なAI戦略に活用してもらいたい」と期待を込めた。
日立システムズは2017年にNutanixとリセラー契約を締結し、2020年にDatarobotの販売パートナーのシルバー認定を取得している。
今回、同社はAIを業務適用する際のコンサルティングからGPT-in-a-Box 2.0、DataRobot AI Platformを活用したAIインフラストラクチャの実装と運用、データ利活用の効率化などをサポートする。
具体的には、顧客の課題やニーズに合わせて生成AI・予測AIの業務適用の選定、業務改善を支援。加えて、高い機密性が求められる業務データなど、業務活用のために必要なRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)やLLM(大規模言語モデル)の実装、運用などを提供することでオンプレミスでのセキュアな環境構築を支援する。
日立システムズ 産業・流通事業グループ業務役員の大江伸登氏は「当社は製造業のお客さまを中心にビジネスを展開している。Nutanixに関しては当社のインフラを提供するチーム、Datarobotについてはアプリケーションを提供するチームの2つがコラボレーションしながらお客さまにサービスを提供していく。両社のソリューションに当社のマネージドサービスを掛け合わせることで、お客さまのAIの活用を加速していく」と決意を口にしていた。
今後、3社は今回開始したAIプラットフォームの検証を進め、生成AIの導入を急ぐ、特にデータコンプライアンスの厳しい政府・防衛・官公庁や金融、製造業などの大企業の課題解決を目指す。