【農林水産省】G20農業大臣会合 3年ぶりに宣言を採択

農林水産省の坂本哲志大臣は9月11日から13日までブラジルを訪問し、G20(20カ国・地域)の農業大臣会合に出席。同会合では、3年ぶりにG20農業大臣宣言が採択された。この2年間は、G20のメンバーでもあるロシアによるウクライナ侵攻を巡って意見が対立し、宣言を出せない事態にとどまっていた。

 9月17日の会見で坂本大臣は、G20で農業・食料システムの将来に向けて議論を交わしたと説明。農業の生産性向上と、有機などを推進する持続可能性の両立を実現すべきことを主張したという。そのうえで「多くの賛同を得られた。大変有意義だった」と振り返った。

 坂本大臣はロシアについて、「新型コロナウイルス感染症やロシアによる不当なウクライナ侵攻による食料や資材価格への影響が深刻な中、持続可能な生産を続けるためには多角的観点が必要」と述べたという。

 昨年6月のG20における野村哲郎農林大臣(当時)は、「ウクライナ侵略は、明白な国際法違反。世界の食料安全保障に大きな悪影響を及ぼすものであり、ロシアを最も強い言葉で非難」と発言。これに比べると、坂本大臣の発言はややマイルドに聞こえる。2年半が経過し、侵攻が既成事実化している可能性がある。

 今回の訪問で坂本大臣はブラジル、アルゼンチン、スペイン、インドの農業や経済担当大臣と会談した。注目すべきなのが、ブラジルのファヴァロ農業・畜産大臣らと会談し、農業・食料分において協力に関する政府間の覚書を結んだことだ。ブラジルからの穀物の安定供給につながるとみられる。

 ブラジルは穀物の輸出大国で、特に大豆ではこの数年、米国を抜いて世界一になっている。食料自給率38%(カロリーベース)と低迷する日本にとって、安定した輸入は極めて重大で、食料安全保障の強化につながるとみられている。

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