米国半導体工業会(SIA)は10月4日(米国時間)、2024年8月の半導体売上高(3カ月移動平均)が前年同月比20.6%増、前月比3.5%増の531億ドルとなり、8月売上高として過去最高額を更新したことを発表した。
SIAプレジデント兼CEOのジョン・ニューファー氏は「8月も半導体市場は成長が続き、8月としての過去最高売上高を更新したほか、前月比売上高も5か月連続で増加となった。前年同月比でみると、2022年4月以来最大の伸び率となったほか、前月比でも2023年10月以来初となる全地域・国で増加した」と述べている。
地域・国別の伸び率でみると、前年同月比では米州が同43.9%増、中国が同19.2%増、アジア太平洋/その他が同17.1%増、日本が同2.0%増、欧州が同9.0%減となり、米州が全体のけん引役となっている。また、前月比では米州が同4.3%増、日本が同2.5%増、欧州が同2.4%増、中国が同1.7%増、アジア太平洋/その他が同1.5%増となっている。市場規模は米州が166億ドル、中国が155億ドルで、この2地域だけで全市場の3割を占める規模で、AI向けを中心に力強い需要が下支えしているといえる。
PolarへのCHIPS法に基づく補助金支給をSIAが賞賛
このほか、SIAは「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」に基づく米国の半導体製造強化に向けた補助金の支給について米商務省がPolar Semiconductorと9月下旬に最終合意に達し、ミネソタ州の同社拠点の整備に充てられることを声明を発表している。商務省は、これまでにも半導体関連メーカー(デバイスおよび装置・材料メーカー)17社に半導体製造強化のためのインセンティブ(補助金)を与えることを決めているが、これはあくまでも予備的な拘束力のない暫定覚書(PMT)に両者が署名したに過ぎず、実際に補助金を支給されるまでには、さまざまな手続きを経て最終審査に合格する必要がある。
SIAの声明でNeuffer氏は、「我々はCHIPS法の実施における重要なマイルストーンとなるこの合意を締結するために熱心に取り組んだ両者を称賛する。重要なCHIPS法に基づく補助金を米国での半導体生産とイノベーションを促進するプロジェクトに振り向けるという進展に勇気づけられている。今回の最終的な合意が、今後数週間から数か月の間にもたらされるだろう多くの補助金の第一歩となることを願っている。SIAもCHIPS法が米国の経済と国家安全保障に最大限の利益をもたらすよう、業界や政府と引き続き協力していく」と述べている。
この補助金の支給によりPolarは、2年以内に米国でのセンサおよびパワー半導体の製造能力を従来比で2倍とし、多様な市場セグメントにサービスを提供できるようになる。発表の一環として、Polarは、米国資本が過半数を所有する商業ファウンドリへと移行することになっている。
CHIPS法の導入以降、米国では28州で90を超す新規プロジェクトが発表されるなど、多くの米国での投資を刺激している。商務省によると、民間投資総額は数千億ドルに上るほか、これらのプロジェクトでは、5万8000件を超える雇用が創出され、米国経済全体で数十万件の雇用が新たに創出されるとしている。