SBIホールディングス会長兼社長・北尾吉孝「次の5年で一段とスケールアップした、強くて尊敬される企業グループを目指す」

「自分が今まで何をやってきたかを振り返ると、今、社会課題として何があり、それをどのように解決していくかという形で事業を進めてきた」─。

 SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏は、創業25周年を機に、これまでの歩みを振り返って、こう述べた。

 創業時の1999年は、日本でもインターネットを事業に活用しようという動きが本格化した頃。この時に「インターネットを利用して、それと極めて親和性の高い金融事業で革命を起こす」として、当時ソフトバンクが純粋持株会社に移行したことを機に、ソフトバンク・ファイナンスを立ち上げた。

 その後、創業以来、北尾氏は「企業生態系の構築」を基本観として掲げグループを構築、拡大させてきた。直近では2021年に新生銀行(現SBI新生銀行)をTOB(株式公開買い付け)により買収した他、宮城県での半導体工場の建設を目指すなど、常に日本の社会課題と向き合い「金融を核に金融を超える」事業を展開してきた。

 証券事業でも、「貯蓄から投資へ」、証券投資の大衆化を加速させるべく、オンラインでの株式売買委託手数料の無料化、いわゆる「ゼロ革命」を打ち出し、業界に衝撃を与えた。SBI証券では、この施策による多大な逸失利益を埋めつつ増益基調を達成し、かつ大幅に顧客口座数を拡大することに成功している。

 24年7月8日には、創業25周年式典を東京都内で開催。その挨拶の中で北尾氏は、グループの関係者に対して「創業後25年を経たこの節目にあたり、全役職員が理念と事業構築の基本観を創業の原点に立ち戻り、もう一度深く考察し、根本にある哲理に触れてもらいたい」とメッセージを伝えた。

 北尾氏は創業25周年にあたり、新たな経営思想として「縁と善の好循環」を発表している。その根底にある考え方が「融通四海」。「全てに滞りなく通じること」という意味を持つ。これは「縁と善の好循環」によってのみ達成されるという。これからもSBIグループは善の実践を通して、多くの良縁と結ばれ、この「融通四海」の具現化を図り、世界に飛躍したいとしている。

「次の5年で一段とスケールアップした、強くて尊敬される企業グループを目指す」と北尾氏。24年8月にはAI(人工知能)関連事業を手掛けるプリファード・ネットワークスに出資することを発表、共同で次世代AI半導体の開発などに乗り出す。

 これからも「金融を核に金融を超える」経営が続く。