山田裕一朗・ファインディ代表取締役「日本が豊かになるためにもITエンジニアの力が必要!」

ものづくりで世界に冠たる国となった日本。デジタル時代でも、そのものづくりを強くする後押しをしたい─。

 大企業はもちろん、中堅・零細企業、スタートアップ、さらにはシステム会社まで、企業の規模や業種も問わず、ハイレベルなスキルを持つITエンジニアを求めるニーズは日に日に高くなっています。もちろん、背景にはDX化の波があります。

 実はこのDX化の波は今回が初めてではありません。2017~18年にかけて起きたSaaS(サービスとしてのソフトウェア)の普及、20年の自社のWebサービスを内製化しようとする動き、そして今はAIを前提としたDXです。しかし、30年時点で約80万人規模のITエンジニアが不足するという試算もあります。

 その意味では、いかに優秀なITエンジニアを獲得できるかが企業の命運を握っていると言えるでしょう。しかしここで欠かせないことはITエンジニアに対する適切な評価です。以前ほどではないにしても、一部を除いてITエンジニアの年収は、まだ伸び代があると思います。

 その理由は、経営層とITエンジニアとの〝相互理解の壁〟があるからだと思います。企業価値が1000億円を超えるようなメガベンチャーの経営層はITエンジニアが自社の生命線であることが分かっているので、それ相応の報酬や働きやすい環境を提供しています。

 一方で、経営層がITエンジニアの重要性を理解していないケースやITエンジニアが自らの価値を経営層に伝えきれていないケースもあります。この相互理解の壁を取り払うことにもつながっているのが当社のサービスです。

 当社の主力サービス「Findy」はITエンジニアと企業のマッチングをサポートするサービスなのですが、最大の特徴はハイレベルなスキルを持つITエンジニアのスキルを可視化している点です。「スキル偏差値」として専門外の人でもスキルのレベルを分かるようにし、適正年収も独自算出します。

 ITエンジニアの本分は開発ですし、企業の人事側もITエンジニア以外の職種にも目を向けなければなりません。双方の歩み寄る努力を待っていては手遅れになってしまいます。当社のサービスはこの双方の基準となる数値を示しているのです。

 他にもハイスキルなフリーランスエンジニアを紹介するサービスやエンジニア組織を支援するサービスなどがありますが、合計で約20万人のエンジニアと2300社以上の企業に当社のサービス群に登録していただいています。そして私が感じるのは、まだまだ日本は世界と伍する力を持っていることです。

 私は大学卒業後、三菱重工業で戦車のような特殊車両を生産する部署で設備投資の審査などを担当していました。その後、ボストンコンサルティンググループ、創業期のレアジョブといった大企業から創業間もないスタートアップも経験。その中で私が日本の企業に可能性を抱くのは、日本の企業が蓄積しているデータは世界的にみても貴重だということです。

 三菱重工が持つプラントに関するデータなど、決して他国の企業では持ち合わせていないでしょう。せっかく貴重なデータを持っているのだからこそ、そのデータを生かした経営戦略が求められます。それにはITエンジニアの活用は不可欠です。

 ソフトウエアやアルゴリズムで外貨を稼げる企業を増やすことが日本の豊かさにもつながります。彼らが活躍できる社会づくりに貢献していきます。