日本再生に必要なこととは何か? READYFOR・米良はるかの訴え!

中間層が中間層ではなくなっている

 ─ 米良さんは日本のクラウドファンディング(インターネット上で不特定多数から資金を集め、社会的な活動に対して資金を集める手法)の草分けとして活動してきました。そこには活動したい人と、応援したい人とを草の根でつなぐ役割があると思うんですが、一方で世界は分断・分裂の時代と言われます。こういう状況をどのように感じていますか。

 米良 やはり、これだけ富がどんどん増えているにもかかわらず、一方で大変な状況に追い込まれる人たちの数が増えているという実感があります。コロナ禍や物価高によって、相対的貧困と言われている人たちも増えてきていますし、あるいは、これだけ円安になると、海外旅行や海外留学をあきらめる若い人たちも増えている。

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 米国で大学に行こうと思ったら、本当にかかる費用は莫大な金額になっていますし、日本の社会における中間層が中間層ではなくなっている。そういう状態になっている気がします。

 ─ 円安の原因としては、日本の国力低下を指摘する声も多いですね。

 米良 金利差や貿易収支など、様々な要因があるかと思いますが、先日、証券会社の方と話をしていたら、30年前に1200兆円だった日本の個人金融資産は今、2200兆円になっている。

 ですから、明らかにストックが増えていっているのは間違いありませんが、それがうまく消費や投資にまわって使われていない、という状況で、それが加速しているのだと思います。

 ─ これは何とかしないといけない問題ですね。米良さんは、岸田文雄首相の「新しい資本主義実現会議」や自民党の政治刷新本部で有識者メンバーとしての活動も行ってきたわけですが、改めて、日本再生に必要なこととは何だと考えますか。

大和総研副理事長・熊谷亮丸の視点「岸田政権の成果と積み残された課題」

 米良 わたしは日本における最大の課題は人口減少が一番だと思っています。今までは人がいれば売上がたったり、成長できたりしていたものが、人手が足りないことで、売上が上がらなくなったり、成長できなくなったりするわけです。

 ただ、一方で人手不足をチャンスに捉える動きが出てきていることに力強さも感じます。

 やはり、今まで人で解決していこうと思っていた問題が、人出が足りないことで、イノベーションやテクノロジーで問題解決をしていこうと。ある種の制約条件が加わったことによって、皆がそちらの方向に一気に進んでいくと思うんですよ。

 ─ なるほど。人手不足を機にDX(デジタルトランスフォーメーション)が始まると。

 米良 ええ。あるいは、人がどんどん減っていくと、人を欲しがる企業が増える。人を採用するためには、魅力的な企業でないと人が集まらない。会社側が変わらないと人は辞めていくし、魅力的な会社にこれから労働移動が進んでいくのは当然のことだと思います。

 ですから、人手不足というのは短期的に考えると、成長をゆがめるものに感じますが、一方で、それを契機にどう変わっていくのか。企業も個人の価値観も変わっていくかということでは、すごくいい機会なのではないかなと考えています。

 また、そうした企業の変革を支えていくために、政府としても、スタートアップを支援したり、規制緩和も含めて、労働の流動性を高めるような仕組みづくりは、かなりやってきていると思います。

 ですから、個人的には割と未来に向かって、やるべきことを議論できていたと思いますし、新しい政権になっても、新たな産業創出や企業がより成長していけるような土台をもっと整えていってほしいと思います。

続きは本誌で