世界に冠たる日本の義務教育
「日本の義務教育は世界にも冠たるもの。宗教観がなく、子供に寄り添う丁寧な日本の教育はアジアにも通用する。これを積極的に輸出していきたい」─。こう力を込めるは学研ホールディングス社長の宮原博昭氏だ。
国内の少子化は避けられず、海外展開に注力する。その視線の先にあるのはアジアだ。中でも同社が焦点を当てるのはベトナム。同国では世帯収入の2〜3割程度を教育に使い、教育熱が高い。8月時点で既に同国も含め、マレーシアやミャンマーなど7カ国で「学研教室」を100教室展開し、約3500人の会員を抱えている。
同社は30年までに35カ国・地域に広げ、会員数を40万人規模へと増やし、海外売上高比率を3割に引き上げる。東南アジア以外では香港やマカオ、台湾、米国、カナダ、ブラジルなどにも進出する計画。海外事業担当取締役の百田顕児氏は「日本での戦後の成長の軌跡を再現できるのではないか」と話す。その国内の会員数は約36万人の右肩下がりが続いている。
それでも2010年に社長に就任した宮原氏がサービス付き高齢者住宅への参入を決断するなど医療福祉分野の売上高が全体(1641億円=23年9月期)の半分近くを占めるまでに成長。14期連続の増収を実現させている。そこで次の成長戦略にグローバル化を据えた。
だが、公文教育研究会の公文式教室は62カ国・地域で展開し、海外の学習者数は日本の132万人を上回る223万人と先行する。また、学研HDの「科学実験教室」では、インドやタイで撤退に追い込まれた。
「企業は成長し続けなければならない」と語る宮原氏。試練を抱えながらも海外での成長に活路を見出す考えだ。
瀬戸健・RIZAPグループ社長「身体と心の健康があってこそ活力が生まれる。ジム事業で人の幸せの根源的なものを提供したい」