長瀬産業は9月26日、同社が注力領域の1つに据えるライフサイエンス分野の製造機能強化と、育成領域である研究開発機能を活用したバイオ分野での事業拡大を目的として、旭化成ファーマの診断薬事業の買収などを内容とした最終契約を9月24日付で締結したことを発表した。
長瀬産業はライフサイエンス分野向けにグループのバイオ関連事業の中核製造会社であるナガセヴィータを中心に、主に産業用酵素の研究、開発、製造、販売まで一貫した事業活動を展開してきた。今回の事業取得は、今後も継続的な成長が見込まれる診断薬用酵素市場への足掛かりとなるもので、従来の両社の既存顧客に加え、NAGASEグループのライフサイエンス分野のネットワークにより、販売網の拡大ならびに強化を目指すとしている。
また、旭化成ファーマの有する精密で高感度な診断薬酵素の研究開発能力を取り込むことで、自社技術力の向上を図り、新たな市場競争力の確保につなげるとするほか、自社で培ってきた酵素および酵素反応物の研究開発能力を、診断薬用酵素の分野にも応用する形で新たな製品開発にもつなげていくとしている。
具体的な今回の契約に基づく買収範囲は以下の通り。
- 診断薬および診断薬用酵素の開発、製造および販売に関するすべての事業
- 大仁医薬工場(診断薬用酵素原料、および「ブレディニン」などの医薬品の原薬製造工場)
- 大仁統括センター(主に、診断薬事業および大仁医薬工場を含む大仁地区全体のインフラ管理組織。これら以外の大仁地区に属する組織および関係会社は対象外)
買収スキームとしては、2025年7月1日を効力発生(予定)日として、契約に基づく権利義務および大仁地区の土地と施設を、会社分割(新設分割)により旭化成ファーマが今後設立する予定の子会社(新会社)に承継。同日付で旭化成ファーマより長瀬産業に対しその全株式を譲渡する形で、7月中にNAGASEグループへと移管される見通しとしており、今回の買収案件の事業・組織に属する従業員の雇用は継続されるとしている。