ドイツテレコムのIT子会社であるT-SystemsとNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は9月25日、日本でのデータスペースのテスト環境(サンドボックス)の提供を開始することを発表した。
今回の協業で提供するデータスペースのサンドボックスは、非営利団体であるEclipse財団のプロジェクトが開発したオープンソースソフトウェア、Tractus-XとEclipse Dataspace Componentsがベース。これらは自動車産業のデータスペースであるCatena-Xなど主要なデータエコシステムでも使用されている。
取り組みの内容
T-Systemsはサンドボックス環境として「Living Lab」というプロダクト、すなわち「データスペース・アズ・ア・サービス」の開発環境を提供する。パートナーであるNTT Comはこの開発環境を日本の大学や企業などに展開する。サンドボックス環境はドイツのクラウドインフラ上で運用され、NTT Comが運用する日本のクラウドインフラ上の国際的なテストベッドを通じて、日本のユーザーやエンジニアがアクセスできるよう運用されるという。
この構成により、データスペース環境でのアプリケーションや接続サービス(イネーブルメントサービス)の開発と利用が容易になるため、日本のさまざまな業界での企業間データチェーンの技術実証実験(PoC)が見込める。
T-SystemsのLiving Labサンドボックスは、NTT Com経由で2024年第3四半期以降にIDSA Japan Hub、東京大学、慶應義塾大学、富士通、オムロンなどの日本の大学や企業などに提供可能となり、それぞれのテストベッド、コネクター、アプリケーションサービスとの相互運用性をテストし、日本のデータスペースの開発者とユーザーの数を増やしていく。
今後の展開
T-SystemsとNTT Comの2社は日本とドイツのデータスペース間の相互運用性を確認するための共同テストを2024年末に計画しているという。T-SystemsがNTT Comと協力して日本にもう一つのサンドボックスを構築し日本とドイツのサンドボックス環境を接続することにより、アイデンティティ、オンボーディング、データ転送、およびサービスディスカバリなどのコアフェデレーションサービスをテストする。
さらには、Gaia-Xデジタルクリアリングハウスサービスを取り入れ、欧州と日本間のトラストアンカーの相互承認をテストするためにGaia-Xと連携します。この連携はアプリケーションの開発ベンダーやデータ提供者・データ利用者にとって大きな利点をもたらし、Catena-Xなどのデータエコシステムへの参加、オンボーディング、利用のプロセスを大幅に簡素化するとのことだ。