パナソニックが和歌山で最新型の車載用電池を量産へ

「長年にわたる円筒形リチウムイオン電池製造の技術と経験の蓄積であり、バッテリーならびにEV(電気自動車)業界に大きな革新をもたらすと確信している」

 

 こう語るのは、パナソニックホールディングス(HD)傘下、パナソニック エナジー社長の只信一生氏。

 パナソニックHDが、最新型の車載用円筒形リチウムイオン電池「4680」の量産準備を完了。和歌山工場(和歌山県紀の川市)をリニューアルし、マザー工場として量産を始めることになった。24年度中には約400人が和歌山工場で次世代電池の開発・生産に従事する予定だ。

 円筒形の新型リチウムイオン電池「4680」(直径46㍉メートル、長さ80㍉メートル)は、従来の「2170」と比較して約5倍の容量を持つ。そのため、今後、EVの航続距離がより長いモデルへの採用が期待されている他、組み立て工程の効率化やEVコストの低減が期待されている。

 ただ、1セルあたりの容量が大きくなる「4680」の製造には、より高度な技術や工法が求められる。パナソニックHDが早期の量産化を実現できるかが、今後の電池の受注競争を占いそうだ。

 車載電池を巡っては、CATL(寧徳時代新能源科技)やBYD(比亜迪)などの中国勢や韓国勢が先行しており、パナソニックHDは後塵を拝す形。

 また、テスラ1社に依存しすぎない顧客の開拓も大きな課題。日本ではスバル、マツダ両社との戦略的パートナーシップを締結。既存の住之江工場(大阪市)と貝塚工場(大阪府貝塚市)、そして、今回の和歌山工場と近い将来、群馬県大泉町に建設予定の新工場と合わせて、新たな顧客の確保を目指す考え。

 EV用の車載電池を成長領域に位置付けるパナソニックHD。今回の和歌山工場リニューアルを、反転攻勢のきっかけとすることはできるか。

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