持続可能な養豚業の実現へ、ENEOSがCO2削減プロジェクト

持続可能な畜産業の実現を!

 ENEOSホールディングス(宮田知秀社長)が、養豚事業における温室効果ガス(GHG)削減を目的とした「J―クレジット」創出プロジェクトを始める。J―クレジットは、GHGの排出削減量や吸収量をクレジット(排出枠)として国が認証する制度。ニッチだが、プログラム型プロジェクトとして養豚業界初の取り組みだ。

 同社によると、畜産業は世界のGHG排出量の約14%を占めており、排出量の削減が求められている。今回のプロジェクトは、従来の飼料をアミノ酸バランス改善飼料に変更することで、飼料に含まれるアミノ酸を豚の体内で余すことなくタンパク質として吸収させる。これにより、排泄物中に含まれるアミノ酸を減少させることで、排泄物処理の過程で排出される一酸化二窒素(N2O)を削減しようというもの。

 N2Oは二酸化炭素(CO2)の265倍の温室効果を持つGHGであり、排出量の削減には大きな意義がありそうだ。

 ENEOSは養豚生産者のIT支援を行うスタートアップ・Eco―Pork(エコポーク)に出資しており、今回は両社による共同プロジェクト。

 ENEOSグループは、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向けて、これまで森林吸収など自然吸収系のクレジット創出を推進してきた。今回、新たに畜産分野のクレジット創出への取り組みを開始することで、「養豚業の課題解決とGHG排出削減の実現を目指す」(同社)。

 畜産業を巡っては、明治グループが酪農分野で、同様のビジネスモデル創出に取り組んでいる。牛のふん尿やゲップにはGHGが含まれていることが知られているが、酪農におけるGHG排出量の削減で生まれたクレジットを明治グループが買い取り、その代金は酪農家に支払われる。そうした取り組みによって、酪農乳業全体のGHG排出量削減を目指すというものだ。

 牛にしろ、豚にしろ、生きていく上でGHGを排出することは避けられないし、われわれの食卓になくてはならないもの。持続可能な畜産業の実現へ向け、大企業による取り組みが静かに始まっている。

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