クラウドサービスを手掛けるドリーム・アーツは9月20日、同社が提供するノーコード開発ツール「SmartDB」を主軸として、日本の大企業の海外拠点のDX推進を支援する機能・オプション群を2024年内に展開していく構想を発表した。国内本社と海外拠点で共通のプラットフォームで業務遂行できるよう機能を強化し、海外拠点のDX推進における障壁を減らす。
同日の戦略発表会に登壇した代表取締役社長の山本孝昭氏は「海外への進出にあたり、国内拠点と海外拠点をつなぐ環境の整備は必要不可欠だ。当社は20年前から、国際時差対応や多言語対応(日本語・英語・簡体字)など、海外展開を視野に入れたサービスを提供してきた。これまでに世界28カ国でのサービス利用実績がある、これをより一層強化していくというのが今回の構想だ」と述べた。
SmartDBは、専門的なプログラミング知識がなくてもシステム開発ができる大企業向けのノーコードツール。現場個別の業務から全社横断業務までノーコードで開発でき、ワークフローとWebデータベースを中心にさまざまな機能をもつ。三菱UFJ銀行やリクルート、KDDI、立命館大学など、大企業を中心にあらゆる業種業態のユーザーが利用している。2024年8月でサービス提供を開始してから20周年を迎えた。
今回発表したソリューション構想「Global Connect」では、SmartDBを主軸として、多言語対応と現地の法対応、セキュリティ、無停止運用の4つの分野で新機能や追加オプションを提供していく。
多言語対応では、AIを活用し英語と簡体字に加えて、20カ国語以上に対応させる。またAI翻訳ロボットも実装し、単純な翻訳だけでなく「要約したうえでの翻訳」や「AIが申請書の素案をつくる」といったこともできるようにする。
さらに、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州 消費者プライバシー法)など各国の法律対応にむけた規約同意を収集する機能も実装。立場によって取るべき規約や改定時の再確認にも対応する予定だ。
セキュリティ面では、国内外問わずデータのアクセス権限を制御できるようにする。認証やアクセスIP、時間帯といったGATE条件に応じたアクセス権を実現し、日本からのアクセスと、同じ権限を持つユーザーでも海外からのアクセスは限定的となるコントロール機能も実装する。
そして、時差を問わず利用できるようにするために、メンテナンス時間をなくし無停止で利用可能にしていく方針。停止せずにモジュールのアップデート対応が可能になるという。
執行役員 サービス&プロダクト開発本部 本部長の増本大介氏は「多言語対応はもちろん、時差を考慮したシステム運用や各国の法規制への対応、グローバル基準の強固なセキュリティ対策はすべての日本企業に共通する経営課題だ」と説明した。
同社はすでに一部の企業に対してこれらの機能・オプション群の提供を開始している。100円ショップ「ダイソー」を手掛ける大創産業は、8月に開催されたイベント「デジタルの民主化DAY」で「SmartDBによって日本国内と一部の海外拠点における店舗情報の一元化や業務効率の向上につなげている。将来的には全社的な業務デジタル化を推進していきたい」(グローバル情報システム部 グローバル開発課 担当課長斎藤徹也氏)とSmartDBの新機能に期待を寄せていた。
山本社長は「大手企業の社内だけでなく、取引先やグループ企業、そして海外拠点へ拡大するとともに、中堅企業への展開も視野に入れる。多様なオプションを用意して顧客単価(ARPA:月額利用料)の向上を図る」と意気込みを述べた。