IPビジネスをわが国の大きな産業に成長させられるか
東宝がバンダイナムコホールディングスと資本業務提携を行うことを発表した。
現在、国内外における日本のIP(キャラクターなどの知的財産)人気は、数年前から特に強まってきている。
昨年公開した『ゴジラ-1.0(ゴジラマイナスワン)』の興行収入は76.5億円に上った。海外においても、映画賞『第96回アカデミー賞』で視覚効果賞を受賞、全世界累計の興収は日本円で約160億円(財界誌調べ)を突破し、過去最高となった。
また、東宝配給作品である宮崎駿監督のアニメ『君たちはどう生きるか』も、同アカデミー賞で長編アニメーション映画賞を受賞するなど、ジブリアニメも全世界的に長らく人気を博してきた。その他、『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』(興行収113.2億円)、『劇場版SPY×FAMILY CODE:White』(同63.2億円)等、日本のアニメのヒット作品は続いており、キャラクタービジネスの更なる発展が期待されている。
2024年2月期の東宝の決算説明では、これらのIPを軸としたパンフレットやキャラクターグッズの販売も好調だったと発表。国内外食チェーン店ではアニメキャラクターとのコラボ企画が来客動機誘発にもつながっているように、IP商品は経済活性化の一つの武器だ。
「海外の現場を回ってみると当社のIPの魅力はまだまだ世界に届けられると感じている。伸びしろは十分にある」と、関係者はIPビジネスのグローバル戦略を強化していく考えを示している。
一方のバンダイナムコはIPを使用した商品・サービスを展開し、グローバル戦略を強化している最中。北米と中国内地を重点地域として、23年3月期の海外売上高比率は28.5%、25年には30%、将来的には50%まで拡大を目標としている。
今回の資本提携はオリジナルIPの企画開発や映像製作、商品・サービス等の展開を行うことで、両社のグローバル市場における更なる成長を目指していくもの。IPビジネスをわが国の一つの大きな産業に成長させられるかは両社の経営手腕にかかっている。