Intelは現在直面している危機を切り抜けるためにさまざまな検討を行っていると噂されている。その内容としては、Alteraの売却、独工場の建設中止、可能性は低いとされるがファウンドリ事業の売却などが含まれていると言われている。
Intel Foundry売却の可能性
韓国の複数メディアが、仮にIntel Foundryに売却の動きが出てもSamsung Electronicsが買い手となる可能性は低いと指摘している。例えばKorea Timesでは、Intel Foundryの市場シェアは低いこともあり、どこが買収しても競合他社への影響は最小限に留まる可能性があると指摘しており、Samsungが買収してもシェアの押し上げ要因にはなりにくいとしている。
また、Korea Heraldによると、Samsungもある意味ではIntelと同様の困難に直面しており、大手テクノロジー企業からの大量注文を確保することが困難になっているという。TSMCはAIを中心とするテクノロジー大手各社と密接な関係性を構築しているが、一方のSamsungは新興企業や自動車企業からの注文を増加させている模様である。
しかし、大手テクノロジー企業からの受注に向けた動き自体は進めており、IBMが先般開催されたHot Chips 2024で発表したサーバ向けAI半導体「IBM Telum IIプロセッサ」や「IBM Spyre Accelerator」は、Samsungの5nmプロセスで製造される予定となっている。Samsungとしては、ロジック分野のすべてのカテゴリでTSMCと競争しようとするよりも、AI業界の潜在的顧客を特定し、その注文を確保することに重点を置く方が有利であると示唆している。
ちなみに米国半導体業界関係者の中には、米国は半導体製造を国家安全保障の問題とみなしており、この観点から、もしもIntel Foundryが売りに出された場合、海外資本ではなく、同じ米国系のGlobalFoundries(GF)が相手になる可能性が高いと見る向きもある。
Altera売却はTSMCの事業拡大の追い風に
一連の再建策の1つとして、Intelは2024年2月29日に新会社として独立させた「Altera」の株式売却を検討しているとも言われている。
その潜在的な売却先にはAMDやMarvel Technologyなどの社名が上がっており、台湾の經濟日報によると、Alteraの売却が成立すれば、AlteraのFPGA生産委託のかなりの部分がTSMCに振り向けられる可能性があり、TSMCの事業に有利に働くと考えられると指摘している。
Intel買収以前のAlteraは、TSMCの主要顧客の1社であったが、Intelの買収以降は既存製品は別として、新製品はIntelファブでの生産が優先されてきた。大口顧客であるAlteraからの注文が途絶えたTSMCだが、その間にもAppleをはじめとしてAMD(Xilinx含む)やNVIDIAなど、ほかの大口顧客からの注文を獲得して、成長を果たしてきた。IntelがAlteraを手放すことになれば、シナジー効果を十分に発揮できないまま手放すと見る向きも出てくるだろう。經濟日報では、AlteraがもしIntelからの独立することになれば、同社からの大量注文がTSMCに戻ってくる可能性があるとしている。