Intelは、創業以来56年にわたる長い歴史の中で最も困難な時期を乗り切るために投資銀行と協力して、製品設計・製造事業の分割やファウンドリ事業の売却、一部の工場プロジェクトや増産計画の中止など、さまざまな再建案を検討していると、米国の経済メディアBloombergが報じている。9月に開催される取締役会で議論されるという。
また、取締役会の議論の中身として、Alteraなど事業の一部を売却してコストを削減する案などが含まれている一方、ファウンドリ事業の売却は含まれていないという報道もある。関係者によると、同社幹部らは工場拡張のための設備投資をさらに削減する計画を提示するとみられ、建設の遅れが噂されている独工場の建設を一時停止、もしくは完全に中止する案が含まれる可能性があるという。
同社の2024年第2四半期決算概要を見ると、最終損失は16億1000万ドルで、その中でもファウンドリ事業は営業損失として28億3000万ドルを計上。微細化技術への先行投資がかさむ中、顧客開拓が思うように進まず苦戦が続いている。こうした現状に対し、同社は100億ドルのコスト削減に向け、従業員の15%にあたる1万5000人あまりを削減すると発表したが、今回の取締役会の動きが事実だとすれば、このリストラだけでは経営の立て直しには不十分だと考えているのだとみられる。
Intel 18AがBroadcomの合格基準に届かず
また、Reutersが、IntelがBroadcom向けにIntel 18Aを用いて試作したデバイスが、Broadcomが行った評価にて合格基準に達しなかったと、複数の関係者の証言として報じている。ただし、Broadcom側の評価では、大量生産への移行はまだ難しいという判断となったが、実際に発注を見送るか否かについては不明だという。
情報筋によると、Broadcomは製造された半導体デバイスの品質や歩留まりに問題があると認識している模様だが、Broadcomの広報は「現在評価中であり、まだ結論には至っていない」とコメントしている。
CHIPS法の補助金需給も不透明に
業績悪化を受けて、Intelが米国を代表する株価指数であるダウ工業30種平均の構成銘柄から外されるのではないかとの見方が米国株式市場関係者の間で広がっている。
Intelの株価は年初来6割ほど下落しており、ダウ平均構成銘柄の中でも株価が低くなってきたことから、構成銘柄としてふさわしくないとする判断の下、除外されるのではないかとの観測が強まっているとする見方を多数の米国メディアが伝えており、一部からは、もしそうなれば、Intelの株価はさらに下落する可能性があると指摘する向きもある。
また、IntelはCHIPS法に基づく補助金85億ドルの支給と政府保証融資の110億ドルを一刻も早く受給したいと思っているが、米商務省が最終支給条件適合性確認を慎重に進めておりいまだに支給には至っていないとする報道もある。CHIPS法に基づく補助金支給の条件には、申請した企業は利益計画を提出し、目標以上の利益が出た場合は上納や雇用の創出を図る必要性などといった条件が付いており、一般論として、補助金を赤字の補填に充てる必要がある企業に支給されるべきか否かという議論もある。
一方で、Intelが米国を代表する半導体企業の1社であることに変わりはなく、バイデン政権が同社の窮地を救わずして米国半導体産業の発展が無しえるのか、という意見もあり、同社に対して米国政府としてどう動くのか、今後の判断が注目されている。