ふるさと納税の年間寄付額が初めて1兆円を超えた。総務省によると、2023年度の寄付額は前年度の約1.2倍の1兆1175億円と、4年連続で過去最高を更新。制度を利用した人も1000万1724人と、初めて1000万人を超えた。納税義務者の約6人に1人が制度を利用したことになる。
ただ、人気のある返礼品をそろえる自治体に寄付が集中する傾向は変わっていない。都市部の自治体では住民が他自治体に寄付することに伴う税の流出が深刻化している。
寄付額が最も多かったのは、宮崎県都城市で193億8400万円。次いで、北海道紋別市、大阪府泉佐野市だった。ブランド牛や焼酎、海産物などの返礼品が人気を集めている。上位20団体の寄付額が全体の寄付額の2割を占めた。
ふるさと納税は、寄付額から2000円を除いた分が住民税などから控除される。寄付した人が24年度に受ける住民税の控除額は7682億3100万円で過去最多となった。控除による税収の流出額は、横浜市の304億6700万円、名古屋市の176億5400万円、大阪市の166億5500万円の順に多かった。
ふるさと納税は、自治体間の過度な返礼品競争を防ぐため、返礼品を寄付額の3割以下の地場産品に限り、返礼品の調達など募集経費の総額は寄付額の5割以下とする基準が設けられている。
ふるさと納税は、生まれ故郷などを応援するのが本来の趣旨。松本剛明総務相は「基準の見直しを適時適切に行ってきている。本来の趣旨に沿っての運用を目指していきたい」と強調したが、東京23区など、都市部の自治体などからは「看過できない」として制度の抜本的な見直しを求める声が強まっている。