半導体情報提供会社Yole Groupの半導体市場調査会社であるYole Intelligenceが発行した「MEMS 2024」に併せて同社は2023年のMEMSサプライヤ売上高ランキングトップ30を公表したが、MEMSファウンドリのみのランキングについては、同レポートの購入者限定として公開していなかった。今回、同社の許可を得て、そのデータを掲載することが可能となったので、それを紹介したい。MEMSメーカーがファウンドリサービスを提供しているケースがあるが、このランキングではファウンドリ事業の売り上げだけを取り上げる形となっている。
それによると、2023年のMEMSファウンドリの売上高トップ10は、スウェーデンのSilex Microsystemsで、2位はカナダのTeledyne MEMS、3位はTSMC、4位はドイツのX-FAB、5位は中SMEC、6位は日本のソニーセミコンダクタソリューションズ、7位は米ATOMICA、8位は独Robert Bosch、9位は台Vanguard International Semiconductor(VIS)、10位はPhilips Engineering Solutionsで、昨年と9位までは順位の前年から変動がなかった。また、MEMSファウンドリトップ10社の本社所在地は8か国に及んでおり、MEMSファウンドリが世界各地に点在していることがわかる。
5年前となる2018年のMEMSファウンドリランキングを振り返ると、1位がSTMicroelectronics、2位がTeledyne、3位がソニー、4位がSilex、5位がTSMCであったので、順位の変動が大きいこともうかがえる。
また、2023年のMEMSファウンドリ市場規模は前年比1%減となっている。一部を除き、ほとんどのファウンドリが製造受託を減らしたが、こうした受託数の減少は新しい設計と技術でMEMS業界に参入するプレーヤーの継続的な成長によって世界的には相殺されているとYoleは指摘している。
なお、2023年のMEMSファウンドリ売上高ランキングをトップ16社まで広げると、日本企業は6位のソニーのほか、14位にロームが入ってくる。ソニーの当該分野の売上高は同34%減と16社中もっとも大きい下落率を記録している。これについて、Yole Intelligenceは、同社の最大顧客であるMEMSマイクサプライヤの加Knowlessの販売不振によるところが大きいと分析している。同社のMEMSファウンドリ拠点は、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング鹿児島テクノロジーセンタ(鹿児島県霧島市)のレガシー半導体ラインである。