【外務省】9月末の国連総会演説 岸田首相の出欠判断に悩む

外務省が自民党の次期総裁選びに神経をとがらせている。9月24日から米ニューヨークで国連総会の一般討論演説が開かれ、現状では岸田文雄首相が出席する予定。ただ、総裁選は同月27日投開票で、退陣が決まった岸田首相に花道としての国連外交を託すのか、それとも各国の首脳が集う貴重な外交の場を放棄して欠席を選ぶのか。身動きの取れない外務省幹部は頭を抱える。

 岸田首相の総裁任期は9月30日まで。総裁選の投開票日は、日程に関する党則や内外の政治日程を当てはめると、これまで①9月20日②9月27日の2案が有力視されてきた。

 ②となれば、岸田首相が総裁選の選挙遊説の隙間を縫い「0泊3日」などの弾丸日程でニューヨークを強行訪問し、投開票日までに戻る案もある。しかし、この場合は各国首脳と行う個別会談などは難しい。外務省幹部は「11月の米大統領選、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえた国際秩序の再構築など、このタイミングで各国の首脳と腹合わせする意義は大きいのに……」と語る。

 結局、27日投開票とする日程となったが、早期退陣が決まった岸田首相が国を代表する立場で強行訪米するのか、それとも「欠席」するのかという難しい決断を迫られる。

「どちらの案になっても、日本が再び短期間で首相が交代しかねない、政情の不安定な国に戻ってしまったという悪い印象を与えてしまうだろう」

 前出の同省幹部はこう肩を落とす。同省では、すでに関係国と国連総会に合わせた首脳会談の調整などを始めているが、相手もこちらの話を半信半疑で聞いてくるという。岸田首相に国連外交を託すかどうか、苦悩を深める同省である。

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